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「…お世辞は、嬉しいけど…ボクみたいな、ちんちくりんが、べっぴん…うーん………」
「誉めてもなんもでないわよ?」
「お世辞ちゃうで。」
「お帰り、琴把ー………そっちの子は?っていうか、達兄さんは?」
「私だけ先に帰ってきた。この子は、ううん…この子も、神血だよ。」
「本体から共有されとるで、よろしゅうな?樹姉さま。うちは神血弐號、至高神血の端末や。」
「………んー、まぁいいや。達兄さんならどうせ無傷だろうし、そのうち帰ってくるでしょ。とりあえず、そのデカブツとそっちの青白い小鬼はベルちゃんに預けて、こっちおいで?」
「…ん、帝王小鬼はひとまずボクが預かるよ。悪鬼は…レフとグシオンが戻ってきたら運ばせよう。彼らにはいい罰だ。」
「わかった、お願いね。ベル。」
悪鬼の死体をその場に下ろし、帝王小鬼の死体をイザベルに手渡して、導かれるままにテーブルにつく。
「さて…あと、手を洗おうか。」
「ん。『水よ』『我が意に従い球となれ』。…石鹸ある?」
「あるよ、はいこれ。」
「ありがと。…。………なかなか落ちないな、沸かさないと駄目か『沸騰せよ』。」
乾いてこびりついた赤黒い血が剥がれ、煮える水球の中で踊る。
血を洗い流した手を振って水気を落とすと、無機質な目で琴把は樹を見た。
「ところで、私をテーブルの方に誘導したのはなんで?」
「はい、どうぞ。琴把を見送ってから調べてもらったんだけど、あたし火と水に適性があるみたいでさ?魔法を使って調理してみたら、思った以上にいい感じに仕上がったの。そんなわけで、魔熊のステーキ、焼き加減はレアだけど…お好みで調整してね。」
首をかしげる琴把の前に、樹が木製のトレイに乗った熱々の鉄板を置く。その上に乗った、程よい焼き目がついた厚切りの肉。
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