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「おお…美味しそう。」
「さ、ご賞味あれ。味付けはシンプルに塩コショウだけど、物足りなかったら言ってね?」
「………いただきます。」
渡されたナイフとフォークを手にとって、静かに行儀良く肉を切る。
そして、切り分けた肉を口に含む。
一瞬目を見開いて、一心不乱に咀嚼し始めた。
「………うん、相変わらず良く食べる。ちょっと、そんな惜しそうに食べなくてもお代わりはあるから!」
「んぐ………酒精が欲しくなる味。」
「こら、未成年。」
琴把が溢した言葉に、樹が鋭い声で指摘する。
それを聞いたイザベルが首をかしげ、暫し考え込む。数瞬の沈黙の後、得心がいったとばかりに手を打って言葉を溢した。
「…ああ、イツキ達の暮らしてたところだとここと成人の年齢が違うんだ?」
「………まぁ、私はあまりお酒好きじゃないけどさ。」
「琴把...あんた未成年でしょ。」
「大学入ってから、居たんだよね。私を酔い潰れさせてそういうことしようとした馬鹿。」
「………しようと、した?」
「私が潰れるより先に、そいつが潰れたけどね。もくろみに気づいて呑み比べ吹っ掛けたら、あっさり乗ってきたから………そいつにとっての誤算は、私が酒豪だったことだろうね。
でも、いくら呑んでも全然酔えないから、呑むのがあまり楽しくなくて………。」
「…一応聞くけど、その相手どうなったの?」
「ぶっ倒れて救急車で運ばれたよ。急性アルコール中毒だってさ。」
「…………ああ、そういや翳兄さんも達兄さんも蟒蛇だった。あたしはカシオレ一杯で潰れるくらい弱いのにね?」
「ウォッカ、テキーラ、ウィスキー…かなり度数のきついのも置いてる店でさ、スピリタスが当たり前のように置いてあったのは笑ったよ。スピリタスの瓶を半分空けたところでとうとう潰れたから、そいつの財布と私の財布から折半で払って、救急車呼んで病院まで付き添って書き置きして帰った。」
「さすがに俺でもスピリタスは無理だ。お前、どれだけ強いんだ?琴把。」
「………そいつが潰れても素面だったし、そもそも酔うのかなぁ?」
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