四章

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「そうともさ。ところで、琴把………」 「うん。七時の方向と十時の方向。距離は…35と50かな?」 「概ねそんなところだが、少し感知が甘いぞ。十一時の方向、70にも一人いる。」 「そうなの?………70か、50以上は確信持てないんだよね、未だに。」 「待って、何の話?」 「俺達、というより琴把に向けられた殺意の感知だ。殺気、とも言えるな。」 「達兄、どうする?十一時の方向のが早めのペースで寄ってきた。七時と十時もじわじわ詰めてきてる。」 「七時は俺が潰す。十時と十一時は任せた。まだだ、まだ動くなよ?」 達人が己の腰掛ける椅子の背凭れに手を掛ける。 目の前に並ぶカトラリーに、静かに琴把が手を伸ばす。 「依然接近中。」 「3、2、1…今だ!」 立ち上がりながら、修羅のごとき形相で座っていた椅子を投げる。 同時に琴把がフォークとナイフを連続で投げ、近づいてきていた整った身形の男達に突き刺した。 「がっ!?」 「か、ひゅー………」 「ちょっ、いきなり何してるの二人とも!?」 驚愕する樹を他所に、ナイフが刺さった男を殴り失神させる。 「随分足の速い追手だこと。」 「どういう意味だ、琴把?」 失神させた男の首元を探り、見つけたものを見て琴把が悪態を吐く。 聞き返す達人に、琴把が見つけたそれを見せた。 「これ、このペンダント。この裏に刻まれてる刻印(エンブレム)、あの狸爺が着けてた指環に刻まれてたのと同じやつだ。」 「ほう…おい、起きろ。加減はしてやったんだ、死んだ振りは無意味だぞ。」 「………んー、とりあえず一人見せしめに仕留めとくか…いや、流石に不味い?」 「止血して足折って転がしとけ。話を聞ける相手は一人でも多い方がいい。」 「了解(ラジャー)、達兄。」 兄の指示に従い、小枝を折るような気軽さで男達の足をへし折る。
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