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「ぐ………」
「………………神血。」
『はいな。起きや、虫けらめが。』
「………ぐぁっ!?…そうか、負けたのか。」
「飼い主への忠誠心があるなら、喋らないだろうけど。一応聞いておこうか。誰の差し金?」
「誰が話すものか。」
「うーん。ある諜報員が言うには、傷は心につけるものらしいけど…そんな都合のいい道具は持ってないし………仕方ない。質問を変えようか、利き手はどっち?」
「は?…どちらも使えるよう両利きに矯正したが、それが今何の関係が…」
「質問の回答以外で口を開かないで。時間の無駄。達兄、私のやり方でやっていい?」
「好きにやれ、愛しい妹よ。」
「ん。じゃあおじさん。まずは左からね?」
「は?ぐぁ!?」
男の左手の小指が、無理矢理手の甲側に折り畳まれる。歯を食い縛り痛みに耐える男に、氷のように冷たい声音で淡々と告げた。
「おじさんが話したくなるまで、指を一本ずつ折る。もう一度聞くよ?お前の飼い主は、誰?」
「話すものか………!」
「強情だね。」
「ぐううっ………!」
「後、18本。指だけじゃ足りないなら、他の骨も折っていくよ。飼い主は、誰?」
「………っ!」
「んー………実を言うとさ、もう見当はついてるの。おじさんが話してくれれば、これ以上無駄に痛めつける必要も無くなるんだけど…私はただ、確信を得たいだけ。答えてくれないなら………もう面倒だし、首いっちゃおうか。誰の命令?」
「………見当はついてるだと?」
「質問の回答以外で口を開かないでって言ったよね?後学のために教えておくけど、所属を明らかにするようなものはこういう仕事の時は身に付けない方がいいよ。首から下げてたペンダント、裏に見覚えのある刻印があった。」
「なっ、馬鹿な………!」
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