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『ふんふん?それで、どうやって使うもんなん?』
「こういう、縄とか鎖とかで射程を確保する武器はさ。こんな風に、振り回して使うと、相場が、決まってるのよ!」
轟々と空気が唸る。鋼線の先に繋がる金属球が、ゆっくりと動き出した。
しかし、数回回して勢いをつけたところで、突如金属球が爆発する。
「………ん?」
『な、んなあほな!ガチガチに固めたんやぞ、動けるわけがない!』
「………この程度で、僕を封じたつもりだったのなら心外だ。」
「………三半規管どうなってんのお前。…しゃあない、やるか。『神血・縛鎖全断』『神血・過剰出力』(琴:神血、鎧。)(イ:はいな。)………フルスロットル、だ。しっかり構えろよ?それか、死ぬ気で避けろ。でないと………原型すらも怪しくなるぞ。」
鼓動が一度、強く響く。
ぶちぶちと不穏な音を立てて筋肉が軋る。
手足を覆う銀色が、広がりながら全身を隠す。
膨張と収縮を繰り返し形を変えたそれが、六尺程の銀の人形を象った。
「そんな虚仮脅し、何の役にぃっ…!?」
「言ったろ、しっかり構えるか死ぬ気で避けろって。これが貫手だったら、お前の体に風穴空いてたぞ?」
呆れたように首を振る誠司の腹に、痛烈な掌打が食い込む。
「ぐっ…聖剣………!」
「させんよ。打法、鐘突・煩悩祓!………あ、ヤバい。(琴:神血。)(イ:あい?)(琴:緊急事態だ。私が、裏返る。)(イ:…ちょお、何言うとるんかようわからん。)(琴:コインと同じだよ、背中合わせの表と裏。記憶は共有してるからとくに説明とかは要らないはず。)(イ:………はいな、主様。)………フルスロットルってーんなら、んな腑抜けた小技使ってんじゃねえよ…琴把。オレが表に出るのも久しぶりだな?よぉ、誠司。元気してたぁ?」
「琴把………いや、違う。君は、誰だ?」
「………あひゃひゃ、笑わせんなよ!」
突然様子の変わった琴把に、誠司が困惑を顕にする。
それを見た銀の人形の顔が、一目で嘲っているとわかる程に歪む。
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