四章

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「あなた様は何時でもそれですね。」 「当然だろう、患者を治すのが僕の仕事だ。そこに妥協や手抜きなどあり得ないし、あり得てはならない。……しかし勇者、貴様『遠き理想郷』を持っていながらなぜこのような怪我をした?」 「アスクレピオスさん、で良いのかな。『遠き理想郷』は『湖精聖剣』に触れていないと発動しないんだ。手から『湖精聖剣』を吹き飛ばされてから受けた傷なんだよ。」 「なるほど、そうか。全く……肩の脱臼は治りにくい上に癖になりやすいんだぞ。……いや、鎖骨や肋骨を折られなかっただけましと思っておくか。」 「どうして?」 「知れたことだ、どちらも固定が困難で治りにくい。加えて鎖骨は脆く折れやすいんだ。ああ、それと……僕にさん付けなど要らん。ただDr.と呼べ。」 「じゃあ、Dr.。どのくらいで治せそう?」 「三週間は覚悟しろ。整復しても強い痛みが残る。」
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