五章

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「わえの分霊の血を引くとは言え、先祖返りを加味してもそれほどやるのか。」 「……やはり排除……いや、ですが今やそれをすれば翠月と敵対するのは確実、それはどう考えても面倒……いや、そもそも魔法破壊さえやってのける彼女相手に俺は勝てるのか……?」 「無理じゃろうなぁ。断言しておくが、力を制限しても尚、わえはそなたより強い。そのわえでさえ、縛ったままではコトハに勝てるかは判らん。」 「翠月、それは流石に買い被りすぎ。あの身のこなしを見る限り、良くて互角か6:4くらいで翠月有利。最大見積りで9:1で翠月有利かな。」 「コトハ、わえは人型での対人戦などやったことがない。人間と戦うときは、大体最初に会った時の獣の姿でやるでの。」 「短時間で倒せるなら翠月の見立てでも間違いではないよ。けど、私のスタンスとは基本的に相性が悪いんだ。」 「ほう?」 「琴把は周囲にあるもの全てと自身の身体能力にものを言わせて、自分のペースに相手を強引に引きずり込んで戦うのが最も得意だからな。俺のようにカウンターを得意とする相手や、翠月のような身体能力にものを言わせたごり押しが通じない相手は苦手なんだ。」 「苦手なだけで倒せなくはないんだけど……本気の達兄にだけは勝てたことないなぁ。」 「可愛い妹相手に本気など出せるか。」 「達兄本気じゃなくても強いじゃん。蹴りも突きもめちゃくちゃ重いし。なのに私とやるとき関節技しか使わないじゃん。しかも絶対達兄からは仕掛けてこないし。」 「お前と同じだよ、琴把。万が一打ち損じれば、俺の拳は人体など容易く貫く。家族でないならどうなっても知ったことではないが、お前は俺の大事な妹だ。我が力は害する力に非ず、護る力なれば。」
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