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無機質な石室に、影を中心に浮かんだものと同じ模様が刻まれている。
その模様の前で、手を組んで祈る影が一つ。
「どうか、奇跡を………!」
模様が強く光を放つ。
光が収まると、そこには倒れた人影ともう一つの人影。
「成功、した………?」
「さっさと離せ!」
「あいたぁ!?」
立っていた方の影が、倒れた影を蹴りつける。
足首を掴む手が緩むと同時に飛び退いて、荒々しく舌打ちした。
「ちっ…本当、最悪。掴まれてなければ、離れられたのに。」
「酷くない!?」
「全く、全然、これっぽっちも酷くない。」
「あ、あの………」
「何?見ての通り、今最っ高に機嫌悪いから手短にお願い。」
「貴様、姫様に対して無礼だぞ!」
祈る影の後ろに居た鎧の男が腰に提げた剣に手を掛ける。しかし抜刀するより早く、舌打ちした影が反応して、踏み込みからの回し蹴りで鎧の男を壁に叩き付けた。
「無礼だから、何?私は今“訳のわからない状況”に“私の意思に反して”引きずり込まれたせいで過去最悪クラスに苛ついてるのよ。」
「が、は………っ!?」
「止めなさいクロード!」
「琴把、ストップ!」
「指図、すんな糞野郎!」
倒れていた影が制止した直後、鮮やかな後ろ回し蹴りで影の胴を蹴り抜いた。
「で、私たちがここにいきなり現れたとき成功したとか言ってたそこのお姉さん。こいつらみたいになりたくなかったらさっさと説明してくれる?」
「もちろん説明させていただきます。ですが、その前に………場所を変えませんか?」
「………それもそうか。立ち話ってのもあれだし。鎧の人、えーっと、クロード、さんだっけ?立てる?ごめんなさい、かっとなってやりすぎたわ。」
「………………忝ない。否、貴殿の憤激も無理のないこと。」
叩き付けた鎧の男に、少女が手を差し伸べる。
「ところで…すごい力ですね。全身鎧の重さも含めると、クロードは100㎏を越える重さなのですが…。」
「………先天的な体質でね。生まれつき、人より力が強いんだ。」
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