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優しい嘘は刃になる
そんな日常を送って3ヶ月が経った頃。
俺たちの心の距離は、少しばかり縮んでいた。
それまでどんなに冷たい対応をされてもめげずに(気づいていないだけかもしれないけど)毎日俺の所に通っては笑顔を振りまいていたが、きに聞きたいことが山ほどあったが、なんとなく「まぁいいか」で済ましていた。
それもきっと深入りしたくなかったからだろう。
出会った頃より格段に会話が増えていたことも打ち解けた証拠だったと言える。
というよりも、いつもガキが、話の話題を雑にぶつけてくるだけだったが。
「てめぇ、今日も来やがったか」
「うん!はなちゃ、にいちゃ好きだもん!」
「あっそ」
毎回のようにこんな会話から始まる。
「にいちゃ、やさいだから!」
「野菜?なんだそれ」
「にいちゃ、いつもはなに、やさいしてくれる!」
「お前それ『野菜』じゃなくて『優しく 』だろ」
「そう!やさしく!」
「言ってろ」
こんなこと俺に言わせるなよと呆れながらもうこんな時間も悪くないと思うようになっていた。
「お前、学校は?」
「いってないよ」
「だから馬鹿なんだな」
「ばかじゃないもん!」
「はいはい」
大体こいつへの受け答えを適当にしていたと思う。
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