分かれ道

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千葉に居たときは、ラーメン屋の配達をやり、バイクや 車に乗っていた。今は徒歩で済ませている。  新聞配達を一年ぐらいやって、上司からタウン誌の記者 をやらないか、と話があった。 仁は、新聞配達より、記者の方がカッコいいので、すぐに Okした。収入がどれぐらい得られるかなんて考えなかった。  その会社は、市役所の側にあった。十階建てのオフィス ビルで、五階と六階を借りていた。 「宮川日々新聞」という名前。五階に編集部があり、十五名 程の記者や校正者、事務員が働いている。 仁は、見習記者となり、飲食店関係の記事を書くことになった。 タウン誌は毎月一回発行され、配布は新聞折込、店舗設置 方法で行われている。 仁のデスクの前に校正担当の近藤が居る。三十五歳ぐらい の女性。身長が高く、痩せている。青白い肌。端正な顔立ち。 結婚しているが子供はいない。 家庭の話はほとんどせず、夫の職業は判然としない。  
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