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クロコールの村
ええ! ええ、そうですっ!
ちょうど向こうの小高くなってる丘の辺りからね! 化物みたいな体躯の何かが、ものすごい速さで通り過ぎて行ったんですよ!
ヤギのような……いや、ヤギなんて可愛らしい生き物を話に出すのはどうかと思うんですがね、馬鹿でかい捻れ角が生えていました。それから、青銅のパイプみたいな爪がものすごくてね!
あんな生き物は見たことありません。いや、そもそも本当に生き物だったのか……。
信じられますか? そいつは後ろ脚をたわませて、ほんのひとっ跳びで……ええ、そう! ただの一跳びです。全く驚くべき話ですが、たったそれだけで、ここからあっちの丘の向こうまで消えて行ったんですよ!
冗談でも見間違いなんかでもありゃしません! 早いところ捕まえるなり退治するなりして頂かないとねぇ。ええ、ええ、ここいらの人間はおっかなくて、夜も満足に寝られないってもんですよ!
-辺境警備に当たっていた警兵の聴取記録『上級魔獣の目撃談』-
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