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「それにしても、一体何者なんでしょうか。その……ルギフの一味、でしたっけ?」
アリアが、単調な行進にしびれを切らしたようにそんなことを口にしたのは、ちょうど村を出発してから一時間ほど歩いた頃だった。三人は今、山賊の一味の根城にしている洞窟を目指して、その進路の途中にある森の中を進んでいる最中だった。ここいらはよく、村娘が木の実や石を集めるのに利用していたらしく、マテルナにも勝手が分かるのだと言う。
森とは言っても、かの広大なヨルム大森林のような鬱蒼と茂った樹海ではなく、木々の隙間から漏れる光で明るく照らされた木漏れ日の道である。どこからか樹皮と緑の香りが淡く漂ってきて、柔らかな土を敷いた地面は長歩きの足にも優しいクッションのような床となっていた。これならば、村娘がよく利用していたというのも頷ける話だ。
レミルは、アリアの問いかけに対して、時折葉を落とす森の木々の様相を眺めながら返した。
「どうしたんだよ、急に」
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