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あまりと言えばあまりの犯行に及んだ犯人であるところのアリアは、彼のその反応を見ていつの間にか取り出していた杖を引き、呆れたように嘆息する。
「てめっ! 急にぬわにしやがんだぁっ!?」
くわっと目を見開いて唾を飛ばすレミルを、鬱陶しそうに横目で見ながらアリアは答えた。
「あのですね。人には人の考えというものがあります。レミルさんの今の物言いはあまりにも失礼でしたよ」
「そんくらい口で言え口で!!」
「レミルさん、こうでもしないと言いたいことは最後まで言うタイプでしょ」
「ぐぬぬぬぅ」
レミルは今頃コブになっているであろう頭の辺りを抑えながら、不服そうに言う。
「んじゃあ何か。お前はマテルナさんが正しいと?」
「そうは言っていません。ただし気持ちは分かります」
「気持ちはぁ?」
アリアは尚も自分に向かって、見方によっては女の子のようにも見えるその顔を勿体なくしかめさせて、鬱陶しく近づけてくる男のことは差し置いて、マテルナへと向き合った。そしてきっぱりと言い放つ。
「マテルナさん。あなたの言っているそれはきっと「絆」なんかじゃありません」
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