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返すもんか。
慌てて包みを開け口に含んだ。
「うまっ」
ふんわりと広がる独特の甘さ。
!
「楡さんこれ……手作りだよね?」
「うん、アレ?言わなかったっけ?」
「なんかこれ、似てるんすよ、俺が探してる人のチョコに……」
「へえ?でも、チョコなんざ、こんなもんなんじゃないの?」
「そうですか?」
「これはあいつの妹が作ったんだよ」
「妹?」
「そうそう、俺の義妹(いもうと)
パティシエ見習いなんだよ。
だから頼んで作ってもらったんだよ。
あ、市販のものじゃないぞ、
ちゃんとここで作ったものだから
手作りだろ?」
そうか、手作りはみんなこんな感じなのか?
3年ぶりのその味覚にさらに感動する。
「楡さんもっとないの?」
「アホ、数量限定だ。」
「ちぇーっ」
楡さんの奥さんは、
学校の先生をしている。
学生時代に振られた相手らしいが、
腐れ縁で、
だんだんに大切な相手として意識するようになったとか。
風貌は冴えない、
しかしその人柄が作り出す、
優しい空気感が、
奥さんのハートをつかんだのだろう。
ああ、あやかりたいあやかりたい。
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