運命ノアール

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なお君は少し離れたところにある自販機でジュースを買うと言って、 私はひとり座るバス停のベンチ。 以前は毎日ここを使っていたバス停、 久しぶりにこの場所に座る。 私たちは何度もここで会った。 私たちをつないだチョコもここで拾ったのだとなお君は言ってた。 「きゃっ」 冷たく冷えたジュースをおでこにコツンと当てられて、思わず声を上げてしまった。 「どうしたの?難しい顔して? 炭酸大丈夫だったよね?」 なお君は笑いかける。 「うん。ありがと」 両手で受け取ると、 周りに着いた水滴が、 ひやりと掌を濡らす。 なお君はとなりに座ると、パシュッと音を立ててプルトップを引きあげた。 私はと言えば、かっこつけて付けてきたつけ爪で上手く開けられずもたもたしていた。 「わりぃ」 直君はそれを取り上げて、 さっき開けただろうジュースを私に渡し、 私の開けられなかったジュースをプシュッと再び開ける。 「ありがとう」 「普段、ペットボトルが多いけど、 自販機とかで買うのは缶が多いんだよね俺」 直君は顔を横にしてふふっと笑う。
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