それはカラスがつないだ

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********** あれから3年。 専門学校を卒業し、 バティシエとなった私は、 忙しくて目が回る2月を過ごしている。 あの日、憧れの彼に作ったチョコレートを、 今は、お客さんの笑顔を祈りながら作っている。 「しのちゃん。今日もお疲れ様。 今日はもうお客さん来ないと思うから店じまいしよう」 「あ、はいお疲れ様です」   ラッピング用のリボンを丁寧に箱にしまいながら返事をした。 「しのちゃん待って」 店長の夏尾さんはあわてて厨房の奥に消えて、 暫くするとにこやかに戻って来た。 「これ、俺からしのちゃんに、 バレンタイン」 「わ、本当ですか。ありがとうございます!」 「日頃の感謝をこめて!、ね?」 「凄い、売りながら私も欲しいと思ってたんです。」 「だよね。俺らって自分で買うとかないから、 実際に手にすることないよね?。 ましてや、しのちゃんは女の子だから、 義理チョコさえ貰わないでしょ?」 「店長は、奥さんが家でごちそう用意してるんでしょ?」 「うん。そして俺はこれをね!」 「え?私のと同じですか?」 「はは、まあねでも込めた気持ちは違うから」 「あは、ごちそうさまです」 パティスリーKAO のシェフ兼店長は愛妻家。 奥さんはこの店のオーナーで、 市内にレストランやカフェなど、 うちのケーキ店の他、3店補経営している。 女性実業家で有名。 かなり年上らしいけど、 店長がもうアタックして結婚したらしい。 店長は決してイケメンの部類じゃないけれど、 温かくて誰もがすきになる素敵な人だ。 こんな夫婦になりたいと憧れている。
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