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この場所のせいで、あの日の五藤くんをどんどん思い出してしまう。
早く職員室に戻らなくちゃいけないのに、あの日の倉庫の風景がフラッシュバックする。
シャツの前を引き裂かれ、大きな身体でのしかかられて身動きが取れなくなった。スラックスを脱がされて下半身がすうすうして、床が冷たかった。
五藤くんの目は、意地悪そうにギラギラしていた。
写真を撮られるのかと思ったけど、五藤くんはあの時、僕をどうするつもりだったんだろう。
――まさか、エッチな、こと……?
「わああ~、うそうそ、そんなわけないじゃん! バカじゃないの、考えすぎ!」
五藤くんが僕のほっぺに触ったり、抱きしめたり、スキンシップが頻繁だからって、変な想像するなよ! 僕は三樹くんの代わりなんだから、変な気持ちでやるわけがない!
そうだ、僕は三樹くんの代わりだ。
気まぐれで頬にキスされたけどそれも三樹くんと間違えたみたいだし。
たとえ僕が彼を好きでも、五藤くんはそんな気を起こすはずがない。
――え?
僕今、なんて思った?
五藤くんのこと……。
「あ、やっぱここにいたのかよ、捜したぞ」
「ひぇっ」
不意に耳に飛び込んできた声に、全身で驚く。
「あ、悪い。脅かしちまったか?」
「ごご、五藤くん! なんで!」
声で五藤くんだとわかったけど、薄暗いから顔は見えなくて大きなシルエットになっている。
でもタイミング悪すぎる。自覚した瞬間に本人が来るなんて。
――自覚……
「おい、大丈夫か?」
黒いシルエットの五藤くんが、心配そうに言った。
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