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私の名前は『空閑 雅(くが みやび)』、東京都内の4年制の理工系大学を卒業し地元である静岡市内の自動車製造会社に就職してこの会社の研究所で働いている29歳独身の女子だ。
会社での仕事は主にコンピュータを使ったハイブリッド、自動車用変速機、エンジンなどの制御システム、衝突回避や被害軽減をサポートするシステムを研究開発している。
まだ暑さが残る9月の金曜日、週休2日制で土曜日と日曜日が休みの私は、1人行きつけのバーに顔を出して少しお酒を飲んでから、帰宅するために終電で富士宮市の自宅に向かった。
富士宮駅に到着し自宅に向かって歩いている途中、人気のない路地に入ったところで私は不意に口元を布のようなもので押さえつけられたかと思うと急に眠気に襲われて気を失ってしまった。
どのくらい眠ったのか、私が気が付くと白い天井が目に入ってきた。
私はベットに寝かされていて、起き上がって周りを見ると、1人の女性が立っていることに気が付いた。
「お気付きになられましたか?
先ほどは乱暴なことをして申し訳ございません。
私は『神楽(かぐら)』と申します。」
優しい口調で私に声をかけてきた神楽さんは黒のスーツ姿で、少し身長が高くすらりとしたスタイル、ショートカットの髪形の美人系で、まるでモデルのような美しい女性だった
「ここは何処ですか?」
私が質問すると神楽さんが、
「ここは富士山の近くで、青木ヶ原の樹海内の地下にある私達の研究施設です。」
と教えてくれた。
「なぜ私はここに連れてこられたのですか?」
私が立て続けに質問すると神楽さんがありのままを答えてくれた。
「実は、空閑さんにやってもらいたい大切な事案があるのです。」
(なぜ私の名前を知っているのだろう?)
私は、まだ状況が理解できず、不安と混乱の中にいた。
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