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「空閑さんに、米国国防総省のネットワークに入り込もうとしているハッカーを撃退してもらいたいのです。」
神楽さんの話に私は反論した。
「私には無理です。
確かに私は仕事でコンピュータを使っていますが、それほど詳しい知識があるわけではありません。」
すると神楽さんから予想外の話があった。
「それは表向きの話しですよね!
空閑さんが高度な技術を持つハッカーだということは知っています。
別の名を『ミスターM』」
私は驚きを隠せなかった。
「私達は『ミスターM』は男性だとばかり思い込んでいました。
でも、それは間違いであることに気が付きました。」
神楽さんの発言に、私は不安を覚えた。
確かに私は『ミスターM』と名乗るハッカーであったことに間違いないからだ。
(私のことをどこまで知っているのだろうか?)
私は半信半疑でありながらも自分自身のことは隠し通せないということを悟ったが、今回の依頼はそう簡単には受けられないと思い丁重にお断りしようと考えた。
「確かに私はハッカーでした。
ですが今は封印しています。」
すると神楽さんから意外な言葉が返ってきた。
「やはり空閑さんが『ミスターM』でしたか…」
この発言で神楽さんは『ミスターM』が私であることを特定できていなかったことを知った。
神楽さんは私の顔をまっすぐに見据えて、真剣な口調で話しはじめた。
「今回の件、空閑さんしか止めることは不可能だと思っています。
空閑さんにこの件の依頼を受けていただけないとなると世界中で大混乱が起こることは間違いありません。
空閑さんだけが頼りです。
どうか助けてください。」
私は今何か大変なことが起きているらしいことを知り、また神楽さんの祈るよな気持ちが私に伝わってきた。
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