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「やったー」
私は思わず叫んだ。
「なんで俺、別なカード取ってるの、そっち取ろうと思ったのに」
「ふふん、いつも最後の最後で駄目な男ね、将来出世しないぞ」
「月夜ちゃんまたやっただろ、超能力使ったな」
「へ、なにそれ、私そんな力持ってない」
「俺が知らないとでも思うのか、月夜ちゃんのことならぜーんぶ分かる」
「何それ………」
私は意外だった、どうも鉄ちゃんは私が気付かない私を知っているみたいだ。
「よし、今日こそははっきりさせよう、前々から気になってしょうがなかったんだ。いいかい月夜ちゃん」
「う、うん」
私は鉄ちゃんが一体何を言っているのか見当もつかなかった、本当になんだかわからなかった。
「僕がカードを持つからゆっくり手を伸ばしてきてね」
「う、うん」
「僕が持ってるカードはジョーカーと…」
「スペードのエース」
「そうだよね、月夜ちゃんはどっちが取りたい」
「もちろんスペードのエースだわ」
「どうして? 」
「あたりまえじゃんか、それで上がりだもん」
「そうだよね」
「うん、うん、うん」
「月夜ちゃんは右と左どっちがジョーカーかわかる」
「カードをうしろからみてんだぞ、分かる訳ないだろ、分かったらイカサマだ、私はそんな卑怯なやつじゃないぞ」
私はむくれた。
「ごめんごめん、そういう訳じゃないんだ」———むくれたのはふりだけだよ、鉄ちゃん。本気じゃないよ。
「で、どうすんだ! 」
私はわざと声を荒げた。
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