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「うん、いつも通りカードを取りにきて、スペードのエースを心に思って……… 」
「ふん、言われなくてもそうしますぅ」
私はどちらか分からないカードに手を伸ばした、鉄ちゃんがもつ二枚のカードのうち一枚を取ろうとした時。
左のカードが少し揺れた、その揺れに誘われるように左のカードを取った。
「えい! 」
「やっぱりスペードのエースを取ったね」
鉄ちゃんが真剣な顔で私を見た、こんな真剣な鉄ちゃんは見たことがない。
私は取ったカードを裏返すとスペードのエースだった。
「どうしてそっちを取ったの? 」
「えっと、だっていつものように鉄ちゃんがカードを揺らしたから、何の疑いもなくいつものようにそっちを取った」
「やっぱり」
「鉄ちゃんて、本当に優しいんだから、いつも私に勝たせてくれる」
「良く聞いて月夜ちゃん」
「なに」
「いいかい」
「だから、なによ! 」
「本当にいうよ」
「もったいぶんな! 」
私は切れかかった。
「これまで何千回と月夜ちゃんとババ抜きしたけど、一回も勝てなかったのはね」
「………」
「二枚残ったカードをとろうとすると、さっきみたいに取りたかったカードじゃないカードを取ってしまう、それは絶対ジョーカーなんだ、それと…」
「それと…」
「よく聞いてよ月夜ちゃん」
「う、うん」
「僕は今まで生きてきて、カードを揺らしたことなど一度もない」
「えーーーーー嘘だぁ! 」
「嘘じゃない、僕が見ている限りさっきだってカードは揺れてない」
「じゃあ、さっきのはなんだってんの! 」
「月夜ちゃんが思っている事にカードが反応した、つまり、月夜ちゃんは人間の能力を超えた何かしらの力を持っているに違いない」
「(絶句)」
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