プロローグ「突然の別れ」

4/9
前へ
/219ページ
次へ
「その証拠に、通信簿、小学校一年生から◎か5以外とったことないでしょう」 「だって簡単すぎて、テスト問題見ただけでぜーんぶわかっちゃうもの」 「勉強しなくてもいつも百点、でしょ」 「確かに教科書なんてまともに読んでないのに、なんでかなぁ………」 「幼稚園の年少組でみんなで木登りして、枝が根元から折れて落っこちた時、一緒に落ちた僕とひーくん、まきちゃんは地面に転がって擦り傷つくったのに、月夜ちゃんはどうだった………」 「うーん覚えていない」——本当に忘れていた。 「僕はしっかり覚えている、空中で二回転して見事足から着地した」 「そ、そうだったっけ………」 「そんな事できる年少さん、全国的に見ても他にいないよ」 「………」 「ほらね、まだまだ一杯あるよ月夜ちゃんの超能力」 「いっぱい…? 」 「うん、忘れちゃ困るからいつか必要になると思ってノートにいっぱいメモしてる、大学ノート5冊にびっしり書いてあるよ」 「えーっ大学ノート5冊にびっしりですか………」 「うん、いいかよく聞けよ月夜ちゃん」 「う、うん」  私は鉄ちゃんに圧倒された。 「君は特殊な能力を持つ選ばれた人間だ! 」  私は何がなんだかわからなかった、私が選ばれた人間?  誰に選ばれたの?  どうしてそんな事できるの、確かに冷静に考えてみると普通じゃ無いことをいっぱいやってる。  えーっ、えーっ………と、私って何者?  きゃーーーーーーなんなのなんなの、さっぱり分からないよ。  でも、でも、でも………ただ一つ分かったことがある。  鉄ちゃんは私以上に私の事を気にかけ、観察、いや、私を理解してくれていることだ、ずーっと傍にいてくれていることだ。  そう思った瞬間、私の瞳から涙が、ぽろぽろぽろぽろ………ながれ落ちた。
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加