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何にもない日曜の昼。
「まさひろー」
朝と昼を一緒に食べて、ソファに座って新聞を読む長い足に纏わりつく。せっかく休みなのに、好きな人と遊びに行く予定さえないとは。頭上から降ってくる「んー?」という気のない返事の主に、恨みがましい視線を浴びせる。
「どっか行こう!」
「行かない」
「なんで?」
「もう昼だし、混んでるから」
「えー!そんな理由?俺とのデートは?デート!」
膝に手を掛けてユサユサと揺らすと、頁をめくっていた手が止まった。新聞の向こうから出てきた顔に、流石に調子に乗ったかと首をすくめる。
「人ごみで疲れるより、家で裕也を足にくっつけてる方が良い」
「え、えー……」
それは、嬉しいようなそうでないような、微妙な感じだ。とにかく、新聞から目を離した今がチャンスと、床からずり上がって、膝の上に乗り上げる。家でしか掛けない、ちょっとダサめの黒縁眼鏡を外すと、正弘は渋々といった体で新聞をわきに避けた。
そのまま腰を抱いてくれて、嬉しくなって、髪をかき上げたおでこにキスをする。
「ん、ふはっ。くすぐったい」
「くすぐったいだけ?」
首に顔を埋められて、暖かい吐息が当たるのや、微かに唇が触れるので、ぞわぞわと産毛が逆立つ。膝立ちのまま身をよじらせると、背中からハーパンに侵入した手に、トランクスの上から尻を掴まれる。
「ンんっ、勃つー……」
「もう勃ってる」
確かに緩くて薄い布地の上からじゃ、ソコがどうなっているかなんて丸見えな訳なので。観念して下を脱ごうとすると、止められた上に何故か床に降ろされた。
「え、なに?」
「今日は裕也にシて貰いたい気分だな」
「良い、けど…?」
絶対このまま雪崩れ込むパターンだと思っていたのに、このタイミングでフェラを要求されるなんて予想外。はてなマークを浮かべたまま、寛げられた正弘の前に顔を埋める。
付き合い立ての頃は、辛うじてコレを咥えるのに躊躇いもあったけど、今はバナナより気軽に口にできる。
「はぁ…ンむ……ぉ、っき……」
「もうちょっと奥、入れて」
喉をつきそうなくらい咥えこむと、滑らせる唇が濡れて、口の周りがべとべとに汚れる。
「まさー……も、良い?」
「まだ」
「えー……」
いつもなら勃たすだけなのに、今日はヤケに長い。匂いとか、口の中に感じる熱で、正直前も後ろも限界寸前。早く触ってほしいし、イロイロ好きにしてほしい。でも、こうやって焦らされるのも新鮮で、強く強請ったものか迷う。
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