15日目

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15日目

15日目 硬いベッドの上で目が覚めた。元は仮眠室だったこの部屋は独房のように狭い。 スーツに着替え、喉に装着するタイプの変声機を付ける。黒い布を顔に巻きつけていき、視界が狭まった。小さな穴を大量に空けているため、近付きさえしなければ向こうから見えることはない。汚れた洗面器の鏡を見ながら、徐々に”田中”に変わっていく。 グロックは知り合った暴力団の人間から高値で購入した。と言っても落ち目のヤクザであり、今はもう組が終わっている頃かもしれない。そこまで追い詰められているヤクザに大金を叩けば、簡単に拳銃を入手出来る。弾はまだある。マガジンに1つ1つ装填し、ジャケットの内側に仕舞った。 昨晩用意したペニスにローションを垂らし、なじませる。これくらい照っていないと見破られてしまう可能性が高い。ファスナーから濡れるペニスを露わにし、田中は扉を開けた。 蛇のように廊下を抜けて、10人が囚われている大部屋の前に立つ。声は聞こえない。まだ朝の9時半だ、あれだけ自分を求めて自慰行為を繰り返せば疲労が溜まるのだろう。 小さな銀を放つ鍵で扉を解錠し、勢いよく開け放つ。15日目とはいえ、その日その日は最初が肝心だ。この空間で主導権を握らなければいけない。 彼女たちは既に起きていた。田中を見るなり表情がとろけて、全員が檻にへばりつく。この光景にも慣れたものだ。檻に近付く度、パイプの隙間から手を伸ばしてペニスに触れようとしている。なるべく大きな声を心がけよう、聞こえない程度の呼吸を長く吐き、田中は言った。 「そんなに欲しいならしてやる。全員抱いてやろう。おい本田。まずはお前からだ。」 残りの9人が残念がる中、格子柄のスカートを既に脱いだ本田は目を潤ませていた。ぷっくりとした小陰唇の上には薄い陰毛が生え揃っている。薔薇の花がプリントされたブラジャーの中に、少し小さな乳房の膨らみがあった。 布団を檻の前に敷き、檻を開けた。あれだけ脱出したいと言っていた5人は出る気配を見せず、次は私だ、と口々に言っていた。 「田中さん、もう挿れてください…もう準備はできてるから…。」 そう言って本田は布団の上で仰向けになり、細い足をこれでもかと開いた。確かにもう本田の膣口はぐっしょりと濡れており、濃い桃色の小陰唇がまばゆかった。 大丈夫だ、本物は抑えている。そう心の中で呟き、田中は本田の前に腰を下ろした。ローションで濡れたペニスを革の手袋で掴み、本田の中に侵入していく。先端だけで彼女は全身を震わせた。 「気持ちいいよ…ああっ、奥までください…。」 睾丸が縮まる感覚があった。やはり本田絢子は魅力的な女性だ。今晩の自慰行為が楽しみである。 華奢な腰を掴んで、田中は無我夢中で打ち付けた。人によっては痛みを生じるほど突くと、本田はもっと、もっと、と懇願するのだ。本田が彼女だったらどれだけ幸せなのだろうか、そんな無粋なことを考えるほどに魅力を感じる。 体位を変えて本田が上になった。ブラジャーのホックを自分で外し、収まりの良い乳房を揺らしている。もう既に本田は2回、絶頂を迎えていた。 「また、またいっちゃう、だめだめっ。」 自ら乳房を揉んでその先端を刺激し、本田は仰け反った。両の中指で乳頭に円を描き、腰を上下に動かしたり、陰核でも円を描くような腰つきを繰り返し、本田は3回目のオーガズムに達した。 「はぁっ、やばい…動けない…。」 後ろに両手をついてびくんと痙攣する本田の膣がより鮮明に見えた。あまり主張しない結合部は海底で光る魚の鱗のように輝きを帯びている。自分は彼女に溺れているのだろうか、そう錯覚してしまい、田中は彼女を退けた。 「次は板垣だ。来い。」 ふらふらと檻の中に戻った本田とすれ違い、板垣久美が布団の上に立った。彼女も既に制服と下着を脱いで全裸になっていた。本田よりも大きく、重力に負けた乳房は大量の水を含んでいるかのようだ。腰の上に乗った肉は柔らかな腰となって、太ももの合間から生える陰毛で膣が見えない。そんな見えないエロスが田中を掻き立てた。 「足を開け。」 そう言って右の手袋を外す。大きく開いたことで、太ももの肉で隠れていた膣が露わになった。鬱蒼と生える暗い森の中に、指を吸い込ませる。森の奥にある鍾乳洞は既に熱い。 「気持ちいい…すごい良いです…ああっ。」 第二関節を折り曲げ、鍾乳洞を探検する指先が行き止まりに辿り着いた。少しざらっとした肌触りを撫でると、板垣はより大きく喘いだ。これが良いのだろう、田中は一気に右手の動きを早めた。 「あっ、あっ、ダメぇ。すぐいっちゃうからぁ。」 表情こそそうだが、彼女の声すらもとろけそうだった。垂れた目尻はそのままコンクリートに液状化して落ちてしまいそうだ。ひどく妖艶な声を発し、加速する右手で板垣は全身を痙攣させた。びくんと肉が畝り、低い声で溜め込んだ息を吐く。どろっとしたチョコレートのような声を出して、板垣は田中の黒い布を見た。向こうからは見えていないだろうが、しっかりと目は合っている。 「四つん這いになるから、挿れて?」 言葉尻を待たずして彼女は動物のような体勢になった。西瓜のような尻を高く上げ、挿入を今か今かと待っている。愛液は肛門まで垂れているようだった。 千切れてしまいそうなほど柔らかな腰を掴み、角度を調節して田中はぐっしょりと濡れた鍾乳洞に進み入れた。何の抵抗もなく吞み込み、板垣は布団に突っ伏しながら悶えた。 女性の体は1つの国のようだった。小高い丘の間に2つの鍾乳洞があり、緩やかな坂を上がっては下り、2つの山がある。そんな豊かな大国を見下ろし、自軍を攻め込ませるのだ。 尻を掴み、開かせる。シワの集中する穴がひくひくと動いていた。もう絶頂が近いのだろうか。絶え間なく喘ぐ板垣の声量は増していた。 何度目かの進退を繰り返すと、大国に巨大な地震が発生した。肉が波のように揺れて、獣のような声を発する。魂を吐き出すかのような絶頂で、板垣久美はその場に崩れた。 ゆっくりとペニスを引き抜いて檻の中に目をやると、渡邉がこれ以上ないほど濡れた目でこちらを見ていた。周りの女たちもそうだ。挿入を待つ女ほどいやらしいものはない。いいだろう、精液を出さないペニスで全員を何度も蹂躙してやろう。 「渡邉。来い。」 這いながら檻へ戻る板垣と代わり、渡邉が布団の上に立った。ゆっくりとベージュのスカートを脱いで、レースシャツをはだけさせていく。緩やかな動作がもどかしく、それでいて美しかった。エメラルド色のブラジャーを外すと、程よい膨らみの乳房がはだけた勢いで露わになる。ガラスの上に牛乳を塗りたくったような白い肌は、室内を照らす電球の光を含んで光っていた。 「私も、もう限界なの…挿れて…。」 仰向けになって細い脚を開く渡邉は、右手で自らの小陰唇を広げた。赤黒い膣が透明な液体で輝いている。こいつはマゾヒストの癖がある、少し乱暴にしても良いだろう。田中は一切躊躇することなく、ペニスを膣内にねじ込んだ。 「ああっ、やっばい…早く動いて…。」 両手を彼女の顔の横に付け、田中は腰を打ち付けた。最初から激しくという注文を承り、渡邉の腰を破壊するような動きが彼女の脳内を粉砕していく。声にならない声が轟いた。 「もっと、もっと…激しく、してっ。」 そう喘いで、渡邉は白い脚を背広に絡めさせた。まるで自分を縛るように、ペニスを迎えている。あれだけ反抗的だった彼女も、15日も経てばひどく色気のある恍惚な表情を浮かべるのだ。つい夢中になってしまう。彼女は田中の首元に両腕を回した。逃がさない、そんな狂気にも似た目が田中を布越しに刺激していく。 「いいよ、来てっ。来てぇ。」 俺は射精しない、いくのはお前だけだと心の中で呟いた田中はより腰の動きを早めた。渡邉は上半身を起こして田中を強く抱きしめる。奥に欲しい、そう耳元で呟いた。 俺も壊れてしまいそうだ、口にしたか分からない言葉が田中の脳内で生まれ、それが終わりの引き金になった。 渡邉の密着で行き場を無くしたような両手、布団に置かれた両足に布のような感触が伝わる。それを疑問に感じた時にはもう手遅れだった。 「おい!離せ!」 機械音声がノイズを起こすほど、両手足を縛られた田中に余裕は無くなっていた。正常位の体位で田中を固定していた渡邉はゆっくりと離れ、田中の真下から消えた。仰向けに転がしたのは佐野だった。 顔を覆う布のせいで何が手足を縛っているのかは分からない。ただ確かな事は、檻が空いてるということだ。何故だ、板垣を檻の中へ戻して渡邉が布団の上に立った時に施錠したはずだ。 「ごめんね、あまりにも無防備だったから。」 狭い視界に突然膣が入り込んだ。先程までペニスが挿し込まれていた渡邉の小陰唇を睨みつける。その奥でこちらを見下ろす渡邉が笑っていた。指で摘んで見せているのは、檻の鍵だった。 「ふざけるな、何故だ。」 一瞬渡邉の顔と膣が消え、すぐに10人の顔が円を描いて自分を見下ろした。絶大な敗北感に溺れていく中、田中は確かに渡邉の声を聞いた。 「作戦通りだね。」
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