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軽い風邪の症状が続く。こんな時期だからこそコロナをほんの少し疑いながらも、コロナとは信じたくはない。でも長生きしたいわけでもない。ただ毎日の体温の高さを気にしながら、生理不順の理由を探していた。
私は彼氏の浮気を(私が浮気相手なのかを)疑いながら、ある日彼氏に思い切って結婚の話をしてみた。案の定、真剣には話を取り合ってはくれず、彼氏は空返事をしながらスマホの画面を見続けた。逃げの姿勢に残念さを感じながらも尋ねてみた。そんな態度をとりながら、彼氏は私を大切な存在と飄々と言ってのけた。どこまで本当なのかは分からない。だって言葉ではどうでも取り繕うことができるって、嫌でも理解しないといけないと知ってしまったから。彼氏のことを信じていないのではない。信じたいと思っている。だけど、行動が伴っていない彼氏をどう信じればいいのか、正直迷い始めていた頃だった。
産婦人科には月一で通っていた。念のためと言われてMRIを受けた1週間後、先生はPCに卵巣閉塞と打ち込んだ。何とも恐ろしい字面である。先生は「パンケーキ美味しいね」みたいな感じで、とても軽やかに「自然妊娠は難しいね」と言った。私は言葉を頭で理解することと、心で受け入れることは、違うことを学んだ瞬間だった。年齢的に彼氏と結婚するかしないかによって、早く別れるべきか考える必要がより高まった気がしたが、彼氏のことは好きでも、本当に結婚したいのかは、ますます分からなくなってきた。
彼氏にMRIの話をした。詳しい話はせず、経過観察とだけ伝えた。返ってきた言葉は、あまりしない方がいいのかな?それはどういう意味なのだろうか。貴方にとって大切にすべきお姫様や女王様は、私ではないのだろうなと悲しい気持ちになった。私は複数人の女の影を横目で見ながら、彼は彼の中でのストックされた女たちの優先順位をつけているのだろうかと心の中で皮肉った。そしてそんな貴方のそばにいたいと思う私をとても残念だと皮肉った。
コロナの状況は悪化するばかりで、不要不急の外出は避けるべき意識がどんどん高まっていった。私は彼氏に会う理由がますます見つからなくなっていった。それでも1週間に1回は返ってきていたLINEが、来なくなりだした。返信がある内はまだ少しの希望を持てていたのに、今は少しの希望も見出せない。さらに今まで見れていた写真も公開されなくなり、ますます不穏な空気を感じとっていた。これらから彼氏の次の行動を予測すると、話があると言われて、薄々感づいていたと思うけど、別れようかという破局をむかえる可能性が高い。書いてて本当に嫌になる。私が努力家なお姫様ならば、私を失わないためにこんな機会だからこそと、彼氏にプロポーズされるのかもしれない。でも脳味噌がお花畑でない限り、この可能性は極めて低い。連絡が少ないと不安になることを予め伝えなかった私も悪いが、軽く指摘しても態度を変えなかった彼に期待しても無駄だと諦めた部分もある。メンヘラ都合のいい女の出来上がり。彼は一体何人のメンヘラを作り、彼は一体何人の女の想像の中で殺されたのだろう。
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