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悠真さんは私の首筋に顔を埋めて不意に呟いた。
渡したく、ない…?
「えっと…誰に、ですか?」
「ノアに」
「えっ…なんでノア?」
「チッ……ムカつく」
「!?」
なぜかイライラしている悠真さん。
私はビクつきながらも悠真さんの髪を優しく撫でる。
綺麗な黒髪は柔らかくてさらさらだ。
「…なんで、ノアのこと呼び捨てで呼んでるんだよ?」
拗ねたように聞いてくる悠真さん。
そんな悠真さんの姿が珍しくて私は呆然と見つめる。
「俺のことも呼び捨てで呼べよ」
「へっ……?呼び捨て、ですか?」
「あぁ」
悠真さんの上で抱きかかえられている私は必然的に悠真さんを見下ろす形になってしまっている。
至近距離に悠真さんの綺麗な顔が近づいてきて、心臓がドキドキと脈打つ。
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