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7 それからの私
「おい、月子。なんかお前の事を……」
その時、バーンと爆発音がし、悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ?」
「爆発した感じだね」
驚く二人の元に役員の一人があわてて消化器を取りに来たので陽平も一緒に向かって行った。
しばらく辺りは騒然としていたが、会場は急に照明が消えて真っ暗になった。
悲鳴が起こり不安そうな声が聞こえてきた。
「ん?……もしもし」
『月子か?漏電で照明が切れたみたいなんだ』
この状況を聞いた月子は、マイクを現場の警察官に任せそばで見守っていた。
祭りはほぼ終わっていたのでこのまま人を帰らせる事になった。
しかし、警官の誘導は興奮し聞き取りにくく、会場の人々はなかなか動かなかった。
ここに陽平が戻ってきて月子に向った。
「お前の方がいいだろう?このままではみんな危険だ!あの。すいません。彼女はプロなんです」
「陽平」
そして彼は月子に向った。
「頼む。力を貸してくれ」
「……わかった。誘導すればいいんですよね」
ここで月子は腹を括ってマイクに向かった。
『会場のみんな!……事故で照明が切れたので残念ながら祭りは終わったよ』
この甘いボイスに正体を見抜いたファンの女性達から黄色い声援が起こったが、月子は続けた。
『足元はめちゃくちゃ暗いぜ?……だから役員の指示に従ってゆーっくりと進んでくれよな?……大事な人はそばにいるかい?……愛する人は笑顔かな?……お願いだから優しく手を繋いで守ってくれよ』
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