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このコメントに会場からは拍手が起きていた。
『ありがとう!みんな……このお祭りを楽しい思い出のまま帰ろうな?大森町のみんな。愛しているよ……』
月子のテントも照明が消えていたので会場の人は彼女の姿は見えず、駅の方にいるんじゃないかと勘違いをして帰って行ったのだった。
「ふう?もう、いいかな」
「ああ……ほい、飲み物」
「ありがとう」
彼から飲み物を受け取った月子は、帰る前にファンだという警官達と握手をして帰ろうとした。
「あれ?うちの父さんは」
「お前の父さんなら組内の人と飲みに行ったぞ」
「……」
「俺が送るよ」
二人は暗い河川敷を歩いていた。
「寒くないか」
「うん。寒い」
「俺の上着着るか」
「いいよ。そっちが寒くなるでしょ」
「声優なんだから風邪とか引いたらダメだろう」
そう言って彼は上着を彼女に着せた。
「いつから知ってたの」
「……アニメで」
色んなアニメを見た彼は、好きなキャラクターがそれぞれいたが、気がつくとそれは全部声優がmoonだったと恥ずかしそうに話した。
「つうかさ。お前の声に似ているから好きになったのかもしれない」
「……たまたまじゃないの」
「あのな……」
陽平は月子の腕をぎゅうとつかんだ。
顔は真剣だった。
「俺は確かにお前の声が低いと言ったけど、嫌いだとは言ってないぞ」
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