3 学生の私

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3 学生の私

「そうですか。声帯がそうなんですか」 「ええ。低いのは体質ですね」 東京の声専門のクリニックで診察を受けた月子は、自分の声はポリープなどは関係なくやはり生まれつきだとう事をここで受け止めていた。 しかし、ここで諦めない彼女はバイトし、少しでも綺麗な声が出せるようにボイストレーニングに通う事にした。 ここで仲良くなった女友人は声優を目指していたのだった。 「いいな。可愛い声で」 「声だけね。私は子供の頃から変わらないの」 仲良くなった彼女は声優を目指して頑張っていた。月子はそんな彼女が羨ましかった。 「でもな……絶対もったいないよ?月子ちゃんならあのキャラにぴったりなのに」 「無理ですよ。だってそれは男性キャラでしょ」 「いやいや。わかってないね?月子ちゃん」 こんな彼女は近日、アニメのヒロイン役の声優のオーディションがあるが、緊張するので一緒に行って欲しいと月子に言った。 この時の彼女があまりにも緊張していたため、月子は一緒に行き練習相手をしながら会場まで付き添ってやったのだった。 「ああ。緊張する?」 「大丈夫だよ。さ。頑張れー!」 入り口で彼女を送り出した月子は、会釈をして帰ろうとした際、慌ててやってきた男性とぶつかって転んでしまった。 「すいません!君?大丈夫?」 「……大丈夫です。私こそぼうっとしていたのですいません」 すると男は月子に手を貸し起こしてくれた。 「ええと。君は何の役で?」 「いいえ。私はこんな声なので、付き添いですよ」 彼は月子の声に目にパチクリしていた。 「そうなの?……いや。ちょっと待って」 彼は驚く月子を案内し、オーディション会場の別室に連れてきた。 そこにはスタッフが数人いた。 「どうかな。彼女は」 「……君。この台本読んでくれないかな」 「あの、私は付き添いですし、それにヒロイン役には不向きですけど」 「……いいね?その声!イメージ通りだよ!?」 そう言ってなぜか頬を染める男性達に首を傾げた月子であったがここで読んでみた。 「……俺を惑わせるとは……お前は大した女だ。これって、相手役ですか?」 「続けて続けて」 こんなオレ様キャラであったが、月子は自分がこう言われたいなという風に話していた。 「愛してる……狂いそうだよ……って、これでいいですか?」 「どうする?監督」 「……うるさい。今、声を聞いていたんだよ……」 「あの……私は一体」 すると男達は月子を見つめた。 「いつから来れる?」 「え」 「君に決定だよ」
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