寝坊した日の朝は。

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「……おはよう」  噂をすればなんとやら。  ちょうど弁当を作り終えた段階で、あくびをしながらジャージ姿の次女がリビングへと姿を現した。  次女はそのまま寝ぼけ眼のまま、冷蔵庫を開けて牛乳をコップに注ぎ一気に飲み干す。  毎日牛乳を飲んでいるからか、それとも部活の影響なのかはわからないが、次女は百七十センチの私よりも幾分か背が高い。  私たち夫婦は特別背が高い訳ではなく、至って平凡な身長なのだが、どうして私の背を追い越すまで成長したのかは不思議だ。 「ああ、おはよう。朝食はご飯とパン、どっちにする?」 「……んー、両方かな」 「なら、自分で用意しなさい」 「……へいへーい」  そんな返事をしながら次女はキョロキョロ周囲を見渡し、生の食パンがないことを確認したのか、冷凍庫をごそごそ漁る。  そして、ご機嫌に何かの鼻歌を口ずさみながら四枚切りの冷凍食パンを二枚、トースターで焼き始める。  それと同時に茶碗に山盛りご飯をよそい、私が用意した焼き鮭やら味噌汁が並んだテーブルにつき手を合わせる。 「いただきます」  合掌とともにチンとトースターが音を立てた。  私は無言でパン祭りの景品で手にいれた白いお皿に、四枚切りのパンを載せ次女の前に置いた。
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