寝坊した日の朝は。

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 私の朝は一般的なサラリーマンよりも早い――のだと思う。  毎朝五時ちょうど。  目覚まし時計の力を借りず自然に起床して、寝巻きから部屋着へと着替えリビングへと降りる。  キッチンでは昨日の夜にセットしておいたお米がちょうど炊き上がっている頃だ。  炊きたてのご飯の香りを少し堪能して、平たい皿の上で必要分だけを冷ます。  冷ましている間にお弁当に入れるおかずの準備だ。  お弁当のメニューは前日などに予め決めず、その日の気分によって決まってくる。  言うなれば気まぐれ弁当だ。  気分が良ければ朝の限られた時間で凝ったものに挑戦したり、あまり気分が優れなければ簡単に済ませる。  冷蔵庫を開けて食材を確認してメニューを思案する。  限られた食材でどう彩り鮮やかに、栄養バランスの優れたものを作るかが腕の見せ所だ。  と、言っても冷蔵庫に元々ある食材だけではいささか限界がある。  正直、早朝から買い出しに行きたいときもあるのだが――買い物に行っている時間などどこにもない。  メニューが決まればさっそく料理開始だ。  切ったり、焼いたり、煮たり――。  どれも時間はかけられないので、何品か同時平行で進めていく。  そうしているうちに、太陽が昇りリビングやキッチンに朝日が差し込む。  今日はとても良い天気になりそうだ。  料理が完成したらそれらを冷まして、弁当箱に詰めるいく。  作る弁当箱はその日によって違ってきたりするので、前日までに何個弁当が必要か申告するのが我が家のルールだ。  と、言っても、一日二個も三個も弁当が必要なのは、バスケ部だかバレー部の練習で忙しい次女だけなのだが……。
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