story1

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女はグッと唇を噛み締め泣いた。 そして、手にしていたカードキーをサイドボードに置いて部屋を出て行った。 きっとバカな女ではなかった。 泣き散らすことも、罵倒することもなく。 ただグッと全てを飲み込み、涙に変え帰って行った。 俺も女なら、涙の一つも流せたのに…… 「先に言っとけよ。言っといてくれた、ちゃんと協力してやったのに」 そうだよ。 言っといてくれりゃー、友達として…… こんな形としてじゃなく協力出来た。 「誰も損してねぇんだ。グダグダ言うな」 違う。 そう言うことじゃねーし、少しは気にしろよ。 「……そうだな」 そうだよな。 お前と俺は同じ気持ちじゃない。 俺とキスしたのだって、ノリだよとか言いそうだしな。 「……帰るわ」 「は?」 引き止める西條の腕を蓮二は振り払った。 「用は済んだんだろう?店も……あるしな」 蓮二はそう言って「あっ、これも返す」とポケットからカードキーを出し、ベットに投げた。 「持ってても良いことねーし」 また、こんな事に巻き込まれるたび、辛くなるのはもうごめんだからな。
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