さくら通り商店街の奇跡

1/1
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

さくら通り商店街の奇跡

「橘祐介短編小説集」に連載中の作品ですが、少し長くなりそうなので、引っ越しします。 〇つぶれそうな八百屋の若い跡取りが、さびれた商店街を復活させようとする物語です。 子供がもうすぐ生まれる、店はつぶれそう悪戦苦闘。 でも、みんなで力を合わせてうまく行くか? お楽しみください。 「さくら通り商店街の奇跡」 「おいっ、うちの店潰れちゃうぞ」 「うそ、この子まだ3歳なのよ」 「いや、でもまずいんだ、ほら3か月前に大きなショッピングモール(ハッピータウン)が出来ただろ。 あそこの野菜、鮮度も良くて無茶苦茶安いんだ」 「うーん、確かにね」 「で、だ、うちもいい野菜仕入れているし、値段も頑張ってる、でもお客さんがこなくなってるんだ」 瀬戸内海に面した町「一ノ瀬市」で、戦後から続けいている八百屋の2代目、駿、28歳。 妻のひろ子、25歳と深刻な話をしてる。 「ねえ、お腹には赤ちゃんがいるのよ、まずいよ」 「ああ、分かってる、でもどうしたらいいのか分からないんだ」 「そんな事言わないで、考えなさいよ、いい、私たち家族の運命ががこの店にかかっているのよ。」 妻のひろ子は学生時代はこんなんじゃなかった。 可愛くて、優しかった。そして控えめだった、ああ、今は…。 でも、今は、大変な事になってる。 それもそうだろう、なんせ2人の子供を育てないといけないのだから。 「明日も朝4時起きだ。とりあえず寝よう」 そして翌日の3月24日の金曜日、いつものように青果市場に行く。 「おい、駿、いい春キャベツ入ったよ、買っていきな」 「駿、山菜が出た、どう?」 威勢のいい声が仲卸の親父たちから、次と、かかってくる。 「ああ、このキャベツ、いくら?」 「2ケース買いな、まけるから」 「ん~、でも2ケースは多いなぁ」 「分かった、ドロボー、1ケースでもまけるよ」 「よし、買う」 とかで、なんやかんや仕入れるが、全部売れる保証はない。 「ハッピータウン」の攻撃がきつい。 その夜「さくら通り商店街の寄り合い(飲み会)」があった。 魚屋の厳さんは、もう酔っぱらって「おい、ハローがなんだ、つぶれろ、つぶれろ」とかわめいてる。 他の仲間も「そうだ」「そうだ」と騒いでる。 でも、酒飲んで愚痴いっても何の解決にもならない。 そんな事はみんな分かってる。 「あの~、ちょと真面目な話があるんだけど」 駿が口を開いた。 01ff826a-2f5e-4b15-8c4b-066bb6ea91d1
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!