エブリスタのページコメント

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エブリスタのページコメント

     本日5月12日、「【エブリスタ】ページコメント機能に関するアンケートのお願いです」というメールをいただきました。これを機会に、エブリスタのページコメント機能に関して前々から感じていたことを含めて、少し書いてみたいと思います。  これまで使ってきた小説投稿サイトと比較して、感じていたことです。今回は珍しく(?)、このエッセイの趣旨に凄く合致した回になると思います。  エブリスタのページコメント。  大雑把に言えば、作品全体ではなくエピソードごとに感想が書ける機能、と私は認識しています。  そもそも。  私は「小説家になろう」を使い始めた際、感想機能に戸惑いました。  このエッセイにおいては「はじめに ――素人作家としての自己紹介――」で記したように、私は「小説家になろう」よりも前に、四つの二次創作サイトを利用していたのですが……。  それらのサイトでは、感想は、それぞれのエピソードごとに書き込む仕様。それがネットでは一般的だと思っていたのに、一方「小説家になろう」では、エピソードごとではなく作品全体に対しての感想を書き込むシステムだったのです。最新エピソードの本文・後書きの下に感想フォームが設置されている、という形で。  一話限りの短編とか、既に完結していて最後まで読んだ上での感想が前提とかならば、それぞれのエピソードごとであろうと、作品全体であろうと、特に大きな差異はないでしょう。しかしWEB小説というものは、連載中作品が多いものです。特に「小説家になろう」では、その傾向が顕著ではないか、と私は個人的に感じているくらいです。  だから……。  例えば、最新話が第六話で、そこに感想フォームがあった時。第六話までの感想を書いても、しばらくしたら第七話とか第十話とか違うところに、それが記載されることになります。感想を書き込んだ当の読者と作者は困らないかもしれませんが、後になって読み始めた別の読者は、少し混乱するのではないでしょうか。  正直、不便な仕様だと思いました。サイト名の通り「小説家になること」を志すためのサイトであって、作者と読者が一緒になって盛り上がる事には向いていないのかな、と。  まあ私の作品には感想なんてほとんど来ないから、あまり関係ない話、と言ってしまえばそれまでですが。  これに対して。  続いて利用し始めた「カクヨム」では、各エピソードごとに「応援コメント」というものが書き込めるようになっていました。作品全体に対しては「レビュー」というものもありますので、ならば応援コメントは感想欄のようなものでしょう。  エピソードごとの感想。以前に使っていた二次創作サイトと同じ仕様であり、私には使いやすいシステムでした。私自身「カクヨム」では気軽に感想――応援コメント――を書き込んでいますし、書き手側としても、「小説家になろう」と比べたら遥かにたくさんの感想をいただいています。  ただし。  私が「カクヨム」を利用し始めたのは、2019年4月なのですが……。  古い「お知らせ」を遡っていくと、この応援コメントは、開始当初には存在しなかったシステムであり、2016年の11月に実装されたものでした。  たまたま私が、既に応援コメント機能が存在した後で「カクヨム」を使い始めただけ、ということです。  そして「小説家になろう」の方でも。  2019年11月6日に「【機能改修】感想の機能改修のお知らせ」がありました。 >▼改修内容 >・感想投稿フォームを全ての部分に設置しました。 >・連載作品は部分ごとに感想を書けるようになりました。  私が小説家になろう」から離れた頃になって、小さな不満点の一つが解消された形です。  以上のように。  わざわざ機能改修で取り入れるのですから、小説投稿サイトにとって、各エピソードごとに読者が感想を記入できる、というのは、結構大事なポイントなのでしょう。  我らがエブリスタにも、同様の機能がありますよね。今回の本題でもある、ページコメントです。  私がエブリスタを使い始める直前、いや使い始めた直後だったと思います。ツイッターで「エブリスタのページコメントは返信できないから不便」と言っておられる(かた)がおり、それに対して同意のツイートも見られました。それらは、他の小説投稿サイトも使っておられる方々の意見であり、少なくとも最初の発信者は「カクヨム」も「小説家のなろう」も使っていて、「小説家のなろう」メインの(かた)でした。  また、エブリスタとは無関係に、「カクヨム」において「せっかく応援コメントを書いても無反応の方々がいるから、私は原則として応援コメントは書かないことにしている」と公言しておられる(かた)を見たこともあります。  このように。  作品に関して思ったことや感じたことを記入する際、それに対して作者が反応してくれることを期待する人も、一定数おられるのでしょう。  私自身も感想を記入する時、「この意見に対して、作者はどう思うだろう? 解釈が違うと思うか、あるいは、納得していただけるか……」と気になることもあります。その意味では、作者の反応を期待する気持ちがないとは言えません。  しかし。  私にとって小説投稿サイトは、小説を書く場所であり、読む場所。少しはSNS的な要素があるとしても、他ユーザーとの交流が主目的ではありません。ならば、一読者としては、作品に対して感想を述べた時点でその作品との関わりは終わりのはず。  実際、「小説家になろう」で感想を書き込む場合は、本当にそんな感じのスタンスです。感想返信があります、と通知が来ても「そういえば、そんな作品を読んだっけ?」と改めて思い出す、というくらいです。  一方「カクヨム」では、応援コメント記入後、一日か二日くらいは「返信があります、という通知まだかな?」とソワソワすることも結構あるので、なんだかんだ言って、他ユーザーとの交流にも重きを置いているのでしょうね。  そんなわけで、自分がそのサイトをどう利用しているのか、にも関わってくるのですが……。  オリジナル小説の投稿サイトとしては私にとって三番目となる「セルバンテス」。あそこは、感想返信が出来ない仕様でした。今現在のエブリスタのページコメントと同じですね。  そして「あっ、これってラクだ!」と感じていたのです。  おそらく「セルバンテス」では積極的に他ユーザーと交流する気がなかった、というのが大きな理由なのでしょうが……。  それだけではありません。  メインとして使っているはずの「カクヨム」でも、時々「感想返信は面倒」と思うことがあったのです。  特に後者に関連して、エブリスタのページコメントに返信機能がないのは、私としては歓迎できるシステムでした。  以上を踏まえた上で、今回のアンケートのQ3を見てください。「ページコメントに反応できる機能が実装される場合、困ることは何だと思いますか?」という質問です。        1346ea75-dea7-48ca-8c99-ae00ac94bb89         私が「カクヨム」で感じていた「感想返信は面倒」という点が、まさに記されていました。それも、二つも。  第一に、「a. 返信することに義務感を感じたり、返信しないと罪悪感を感じたりする」。  ほら、読者からのコメントって、どう返したらいいのか困るような内容の場合もあるじゃないですか。  例えば、私が「カクヨム」で「これ、どうしよう?」と一番困惑したのは、作品の感想ではなく書籍化作家様の愚痴を書かれた時。いや『愚痴』といっても「商業作家になって初めてわかった苦労」みたいな書き方であり、先輩としてのアドバイスのつもりだったのでしょうが……。  ちょっと待ってください。それ、この作品と関係あります? コンテストの一次選考を通過した作品ならばまだしも、コンテストに応募した長編ですらありませんでした。  うっかり私がプロフィール欄に「今から約30年前に、原稿用紙に鉛筆書きした短編小説を、何かの賞へ応募したこともありました」みたいなことを書いたせいで、昔々から真剣に商業作家を目指している、とでも誤解されたのでしょうか?  二度とそんなことがないように、プロフィール欄に「切実に『小説家デビューしたい!』と思っているわけではありません」と書き足しました。効果があるかどうか、わかりませんが。  なお、その書籍化作家様が私の作品に感想を書いてくださったのは、その(かた)の開催した自主企画に参加したからだったのですが……。企画タイトルの頭に「〇〇の……」という形で、その(かた)のお名前を含む企画名でした。遊びとして自分の名前を含む「〇〇杯」みたいなコンテストを開く方々もおられるし、また、単なる自己顕示欲で企画名に自分の名前を入れる方々もおられるので、その手の企画だと思って参加したのですが。  そこは書籍化作家様。これはプロが開いた企画なのだぞ、というアピールだったのでしょうね。ならば、プロ作家ならではのコメントを書かれても、仕方ありません。普通に一般ユーザーからの感想を期待してはいけなかったのでしょう。  ……と、少し皮肉っぽい(嫌味っぽい?)書き方になってしまいましたが。  これは極端な例としても、まあ、あるのですよね。どう返信しよう、と頭を悩ます時。返信というものは相手が存在するものなので、趣味の小説執筆以上に責任を伴うように感じてしまいます。  たとえ真っ当な感想であっても、返信しようと思って下書きしてみたら「あれ、これじゃ他の(かた)からいただいた感想に対する返しと、同じじゃないかな?」となってしまうこともあります。時候の挨拶じゃあるまいし、他と同じでは失礼ではないだろうか、と。  そんなことを考え出すと、何を書いたらいいのか、本当に困ります。私のように感想の少ない人間でもこれですから、世の中の人気作家の方々は、どうしておられるのでしょうね?  それでも、一度でも誰かに返信した以上は、他の方々にも返信しないと失礼……。私は、そう考えてしまいます。いっそ最初から誰にも返信しない、という立場を貫けば平等になるのでしょうが、それはそれで「この人は感想返信しない人」と思われて、感想が減るのではないでしょうか。  ほら、SNS的な利用、という話にあったように、「返信を期待した上で感想を書く」という方々もおられるからです。私自身、感想を書こうと思ったけれど他の感想に一切返信がないのを見て「書く甲斐がない」と感じて、やめてしまったことがあります。  一方、中には「感想返信をしたり、しなかったり」という方々もおられます。自分に正直で潔い方々です。尊敬に値します。私には真似できません。  以上が、感想返信の義務感とか罪悪感とかの話でした。  第二に、「c. 返信が忙しくなり、作品を書く時間がとれない」。  いや感想の少ない私がこれを言うのは、少しおこがましいのですが。  ほら、上で既に述べたように、感想返信に頭を悩ますことは多いのですよ。先ほどの極端な例ならば、もう適当に書いてしまっても構わないのでしょうが、『たとえ真っ当な感想であっても』の場合は、そうもいきません。  チリも積もれば山となる、というほど多くはないですが、私の場合、わずか四つか五つの感想でも、返信を書くのに合わせて一時間か二時間かかったりします。  いや、それどころか「カクヨム」では、一つの感想返信に二時間も三時間も費やすこともありました。エブリスタのページコメントと違って「カクヨム」の応援コメントは文字数に制限がないので、超長文で書き込まれることもありまして……。  特に「互いの小説の良い点や悪い点を指摘し合って、できれば改善策も提示しよう」みたいな自主企画に参加した場合。長いコメントであっても無駄な部分はなく、返信するにしても、真摯な態度が要求されます。他人様からのアドバイスは、ただ単純に全て鵜呑みにすればいいというものでもなく、かといって無視したら失礼。そうなると「これは取り入れようと思う。でも、あれは採用するには抵抗がある」みたいな話を、相手の気を悪くしないような形で、述べていかねばなりません。  そうすると、簡単な短編小説が一つ書けてしまうくらいの時間を、一つの感想返信に充てることになるのです。  まあエブリスタのページコメントは、そこまで長いのは書けませんから、もしも返信機能があっても「カクヨム」ほど大変ではないでしょうけど。  そんなわけで。  私は現状の「返信できないページコメント」を気に入っており、Q3では複数回答可だったので、aとcをクリックしておきました。  ただし「一応は何らかの反応を返せた方が良い」という気持ちもあったので、Q2では「『いいね』を押したい」にしておきました。作者が「見ましたよ」と知らせることが出来る程度だったら気楽、と思っています。  以上は、あくまでも私の個人的な考え方。  私と同じように他サイトを利用してきた者でも、全く異なる意見の方々は大勢おられることだと思います。  それでも。  エブリスタだけを使っておられる方々が「もしも返信機能が実装されたらどうなる……?」と経験したことない未来を想像する上で、何かの参考になるかもしれない。  そんな気持ちから、今回は書いてみました。    
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