作品が評価される意義

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作品が評価される意義

     作品が評価されると、どんな良いことがあるのでしょうか。  まず何よりも、作者が嬉しい。執筆のモチベーションに繋がる。  ……これが一般的なのだろう、と私は想像しています。  まあ私自身も、趣味で小説を書いていて「どんどん書きたい」気分の時もあれば「あまり書きたくない」気分の時もありますから、確かにモチベーションというものは大切なのだと実感できますが……。でも仕事ではなく趣味なのですから、モチベーションの低下云々を言い出すくらいならばスパッと辞めてしまえばいいのに、と思ったりもします。  なので。  本当は、単純に「嬉しい」こととは別に、作品を評価されることには意義があるはず、と考えてしまいます。  例えば。  まだエブリスタのことは、使い始めたばかりでよくわかっていないのですが……。  少なくとも、トップページに「注目ピックアップ」というコーナーがありますよね。★50、★100、★200、★500、★777……といった感じに、区切りの良い★数になると紹介されるのですよね? とりあえず今のところ私には縁のないコーナーだなあ、と思って眺めていますが。  これなどはエブリスタ独特のシステムであり、作品を評価されることが作品を紹介してもらうことに繋がるという意味で、少し形のある「作品が評価される意義」だと思うのでした(「カクヨム」にも「注目の作品」というコーナーはありますが、あちらは前日に一つでも★が入ったら『注目』扱いになる、というシステム。膨大な作品数になりますから、表示されるのは、ほんの一瞬です)。  ただし。  あくまでも『少し形のある』という程度に過ぎません。サイトによっては、もっとハッキリとした形で実利に繋がる場合もあって……。  例えば「小説家になろう」。  あそこでは、ランキング上位作品には出版社から声がかかって、商業出版されるそうですね。これこそ、私には一生縁がない話なので、そういう噂を聞きました、というレベルなのですが。  出版社から声がかかり、どういう打ち合わせをして書籍化に至ったのか、という経緯をエッセイにした(かた)もおられます。だから、ただの噂ではなく本当の話みたいです。完全な野次馬根性で読んでみたら、私の拝見したエッセイでは、一つではなく同時に二つの出版社から声がかかって……という内容が書いてありました。  WEB小説を投稿する人々の中には、商業作家を目指しておられる方々もたくさんいるでしょうし、そのために頑張ってコンテストに応募したりするのでしょう。だから、コンテストで受賞せずとも商業出版してもらえる、というのは大歓迎のはず。その意味で、「小説家になろう」で評価されてランキング上位に入ることは、単純に「嬉しい」とは別次元の大きな実利に繋がる、と言えるのではないでしょうか。  また、例えば「カクヨム」では。  複数の出版社が関わるのではなくKADOKAWA系列だけですから、「小説家になろう」のような出版社による拾い上げというのは……。  少なくとも私は、そうした噂を耳にしたことも、エッセイなどで拝見したこともありません。「カクヨム」投稿作品の出版を目指すならば、「小説家になろう」にも掲載してそちらで声がかかるのを待つか、あるいは「カクヨム」のコンテストで受賞するしかないのでしょう。  ならば「カクヨム」では、読者から作品を評価してもらっても出版には繋がらないのか、というと……。  それも、大きく違います。というのも、「カクヨム」で開かれているコンテストの応募要項を見ると、こんな文言が書かれていることが多いからです。 >応募された作品の中から、読者選考によるランキング上位作品が最終選考にノミネートされます。最終選考では編集部が……。  最終選考にノミネート、というとカッコいい言い方ですが、要は一次選考です。つまり、まず読者人気を得ないと、主催者側の審査員に読んでもらうことさえ出来ないのです。  こうなると「何が何でも商業作家になりたい」という方々は、必死です。読者選考ということは、まず同じカクヨムユーザーに読んでいただいて、なおかつ評価してもらわないといけません。  相互評価といって「あなたの作品を評価するから、私の作品も評価してね」という行為は、「カクヨム」のサイト側では推奨していない――例えば自主企画においてはハッキリ禁止事項としてガイドラインに明記されている――のですが、それでもコンテストでは、相互評価が横行してしまいます。結果、構成も文法もメチャクチャな作品が、最終選考にノミネートされ得るのです。  もちろん、純粋に「面白いから」という理由で評価を集めて、真っ当に最終選考へと進む作品もあるわけですが……。相互評価枠がある分だけ、本来の「面白い作品が選ばれる」枠は、狭くなってしまうはず。逆にいえば、まともに通過するのは圧倒的に面白い作品だけ、ということにもなるので、それはそれで良いのかもしれませんが……。  こうなると。  私のように、日頃「一次通過が目標!」なんて言っているレベルは、絶対に通過しません。全く自慢になりませんが、読者選考で決まるコンテスト、私は一度も一次通過したことがありません。  それでも懲りずに応募してしまうのは、一人でも読者を増やしたいから。コンテスト期間中は「コンテスト応募作品を優先的に読もう」という方々もおられるので。ほら、読者選考の重要性がわかればわかるほど、そういう気持ちになるのでしょうね。  また、読者選考の存在があると、相互評価とは別に、他のユーザーとの交流というのも大事になってくるようです。いくら面白い作品を書いても読んでもらえなければおしまいですし、逆に読者の立場から見ると「いつも交流のある方々」とか「以前に面白い作品を書いている、と判明している方々」とかの作品を優先しがち。  ある意味、日頃の交流も含めてのコンテストになってしまうわけですね。だから『日頃』の段階で、交流を頑張りすぎる方々も出てきて……。作品を読んでいると、「やたらポイントが高いけど、おそらく作品そのものの面白さではなく、交流で稼いだ――読んだお返しとして読んでもらって評価された――だけではないか」という作品に出くわすこともあります。「てにをは」もおかしいレベルなのに妙に高評価な作品に出会った時には、作者のフォロー数(フォロワー数ではありません)が桁違いに多いのを見て「ああ、なるほど」と納得してしまいました。  というわけで、「カクヨム」では作品を評価されることがコンテストの一次通過に直結する、という話でした。  一応お断りしておきますが。  全ての「カクヨム」コンテストが、一次選考イコール読者選考というわけではありません。 >応募された作品の中から、外部選考委員、編集部による一次選考を行います。  と記載されたコンテストも中にはありますし、私が一次選考通過したのも、この形式でした。  また、 >応募された作品の中から、読者選考によるランキングを参考に、カクヨム編集部による一次選考を行います。  という、読者選考がどれだけ重視されるのかよくわからない、微妙なコンテストもあります。  その形式でも一度、一次選考を通過しましたが、その時は短編のコンテスト。私の作品、長編とは違って短編ならば読んでいただけるようですし、少なくとも自分の応募作品の中で比べたら、読者選考期間中の評価が高かった作品が通過して低かった作品は落選していましたから、やはり読者選考が重視されているようでした(なお、その時の私の応募は51作品で、うち2作品が通過でした)。  少し余談になるかもしれませんが、これもサイトによる違いの話題ということで……。  こうやってコンテストに限って考えると、「カクヨム」より「小説家になろう」の方が私には向いている、と思ってしまいます。  例えば「小説家になろう」には「ネット小説大賞」という大きなコンテストがありますが、そのコンテストの場合、概要ページには『文字数・ポイントともに制限は無く』と書かれていますし、「よくあるご質問」では『(ポイントによる足切りは)ありません。第6回では締切時30ポイントの作品も受賞いたしました』と明記されているくらいです。  外部の掲示板で考察されているところでは「受賞するのはポイント五桁の作品ばかり」という書き込みもありましたが、あくまでも個人的な意見なのでしょう。特に『受賞』よりも『一次通過』が実質的な目標となる私には、無縁な話です。  そもそも「小説家になろう」に私が投稿している作品って、登録時点から書き続けている作品すら152pt、他は全て100pt未満つまり二桁ポイントですからね。ポイント五桁なんて異次元の話!  それでも昨年と今年、「ネット小説大賞」では一次選考を通過することができました。昨年は9作品応募して3作品が一次通過、今年は65作品応募して4作品が一次通過なので、まさに下手な鉄砲なんとやら。むしろ4作品通過よりも、61作品落選を誇りたいレベル。  もう昨年の通過ポイントは覚えていないのですが、今年の一次選考発表はつい最近だったので――このエッセイの四つ前のところで『今日の夕方にも一つ「小説家になろう」の方でコンテストの一次選考発表がある』と書いていたのがこれです――、通過4作品のポイントを確認してみたら、79pt、26pt、24pt、4pt。  確かに、低ポイントでも一次通過できるわけですね。「カクヨム」のいくつかのコンテストとは大違いです。  こうして。  作品が評価される意義とか、それに関連してコンテストの話とか。  エブリスタではどうなのだろう、というのは、今後利用を続けていく上で、色々と実感できるのでしょうね。楽しみです。  というわけで。  今回は、作品が評価される意義はサイトによって違うのではないか、という話でした。    
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