ふと気になってブックマーク数の違いをサイト間で比べてみた ――今さら改めて感じる特集掲載の影響――

1/1
前へ
/32ページ
次へ

ふと気になってブックマーク数の違いをサイト間で比べてみた ――今さら改めて感じる特集掲載の影響――

     今日の昼間。  いつものように鈴マークの『通知』を見ていたら「ゲストさんが本棚追加しました」というメッセージ。作品は『「ウイルスって何ですか?」――ウイルス研究者の異世界冒険記――』でした。  とっくの昔に完結している作品ですが、今でも新しく読んでくださる方々が現れるのは、本当にありがたい話です。  そういえば『「ウイルスって何ですか?」――ウイルス研究者の異世界冒険記――』の「本棚」も結構な数になってきたなあ、と思って改めて確認してみたら、63件。この数字を見て、ふと気になりました。 「待てよ? これ、もしかすると『小説家になろう』や『カクヨム』より多いんじゃないか?」  サイトによってブックマークとかフォローとか微妙に言い方は変わりますが、どの小説投稿サイトにも、エブリスタで言うところの「本棚」に相当するものがありますよね。  私のイメージでは「小説家になろう」は異世界ファンタジー(特に転生もの)が主流のサイト、「カクヨム」も「小説家になろう」ほどではないものの同様のジャンルが強いサイト。これに対してエブリスタは、以前にも述べたように、恋愛小説が読まれやすいサイトだと思って使ってきました。だから「本棚」が思ったより多い気がして、意外だったのですが……。  あくまでも「気がする」です。本当のところはどうなのか、同じ作品の「本棚」(ブックマーク)の数を、サイト間で比較してみることにしました。  なお、私は最近「ノベリズム」という出来立てホヤホヤ(今月開設されたばかり)のサイトにも登録しているので、そこも含めて4サイトでの比較です。  確認した「本棚」(ブックマーク)の数字は、以下のようになりました(それぞれ投稿開始時期が異なるので、それも付記しています)。  小説家になろう(24ヶ月前に投稿開始) 50件  カクヨム(17ヶ月前に投稿開始) 62件  エブリスタ(5ヶ月前に投稿開始) 63件  ノベリズム(今月投稿) 6件  思ったより多いどころか、思った以上に多かった! まさか本当にエブリスタが一番だなんて!  まあ『一番』とはいえ、ほぼ「カクヨム」と同数ですが。でも「カクヨム」は17ヶ月分、エブリスタは5ヶ月分と考えたら、やはり多いです。  というより、これ「小説家になろう」が少なすぎるのでしょうか。おそらく読者数は「小説家になろう」が最大でしょうし、また、副題が『ウイルス研究者の異世界冒険記』な時点で、作品タイトル的には、いわゆるなろう系のはず。  さらに、さらに。実は「小説家になろう」だけは完結にしていなくて、エブリスタ版の続きも同じ作品として続けているのですよ。カクヨム版も続きがありますが、なろう版とは異なり、続編を別作品にして投稿しています。ですからその分「小説家になろう」だけは、他よりブックマークが増えて当然と思えるのに……。  異世界転生ファンタジーが、他よりもエブリスタで受ける、というのは意外です。でも理由を考えてみると、すぐに思い当たる点がありました。  特集掲載の影響です。  以前に報告しましたが、この作品、5月に「特集 生まれ変わりました」で紹介していただいているのですよね。そのおかげで、例外的に――本来はエブリスタ受けする作品ではないのに――、多くの方々の目に留まり「本棚」も増えたのではないでしょうか。  ならば。  同じく特集に掲載された、別の異世界ファンタジー長編はどうでしょう? やはり特集掲載のおかげで、エブリスタの「本棚」が他サイトのブックマークより多い、となるのでしょうか?  6月に「特集 悪いやつら」で紹介していただいた『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(1)「桃色の髪の少女」』に関して、同様に「本棚」(ブックマーク)の数字を比較してみました。  小説家になろう(20ヶ月前に投稿開始) 4件  カクヨム(17ヶ月前に投稿開始) 17件  エブリスタ(5ヶ月前に投稿開始) 18件  ノベリズム(今月投稿) 1件  やはり「カクヨム」とエブリスタで、ほぼ同じ。しかもタイトルに『異世界』と入っているのに、「小説家になろう」のブックマークは、わずか4件! 「小説家になろう」では、ネット小説大賞という大きなコンテストで一次選考を通過している作品なのですが、その程度では宣伝効果なんてないのですね。  とりあえず。  こうして二つの例を見ると、やはり特集掲載のおかげではないか、と感じるのですが……。  本当に「特集掲載のおかげ」かどうかを知るためには、特集に掲載されていない、同ジャンルの作品と比べる必要がありますよね。つまり、タイトルに『異世界』が含まれている作品で、特集に選ばれていないもの……。  でも『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(1)「桃色の髪の少女」』の続編は、サンプルとして相応しくありません。それ自体は特集掲載がなくても、シリーズ一作目が特集に掲載されれば、そこから同じシリーズの作品を知る、というパターンもあり得るでしょうから。  そうなると。  他に『異世界』が作品タイトルの長編は投稿していないので、代わりに中編(約3万文字)を例として使うことにしました。『こちら異世界ウイルス堂』という作品です。  小説家になろう(11ヶ月前に投稿開始) 9件  カクヨム(17ヶ月前に投稿開始) 29件  エブリスタ(6ヶ月前に投稿開始) 10件  ノベリズム(今月投稿) 0件  上述の『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(1)「桃色の髪の少女」』と比べたら、「小説家になろう」と「カクヨム」では、おおよそ2倍くらい。「ノベリズム」は少なすぎて比率計算が意味ないので、やめておきましょう。エブリスタでは「小説家になろう」と「カクヨム」とは逆に、上記作品の半分くらいになっていました。  つまり、同じ異世界ものなのに『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(1)「桃色の髪の少女」』と違って、エブリスタでは読まれていない、ということになります。私としては、女の子が主人公でお仕事ものだから、むしろこれこそエブリスタ向けの内容だと思っていたのですが……。  でも「エブリスタ向けのはず!」と思う作品なのに数字が少ない、というのは、むしろ今回のデータとしては良い傾向ですね。  やはり特集掲載による影響が大きいのだろう、という結論。少なくとも、その方向性に合致するデータが得られました。  もちろん「そういう結論が示された」とは言い切れないのですが、「そういう結論が示唆された」くらいは言っても大丈夫でしょうか? 論文として書くならば「そういう結論と思われる」くらいにしておくのが無難ですが、これ、エッセイですからね。  そんなわけで。  今さらですが、改めて、特集に掲載される効果は大きいのだなあ、と感じたのでした。  ……と、これで終わりにするべきですが、特集掲載に関する話をしたついでに。  以前に『「特集 悪いやつら」その後(前編)』で述べた「イチオシ作品はランダムだ」という話。あの時、イチオシ作品になったのは『6月の間は2回。6月18日の木曜日と、6月21日の日曜日でした』と書きましたが……。  本当にランダムなのか、あるいは周期性があるのか。あの後しばらく、毎日のイチオシ作品を確認し続けました。  すると同じ『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(1)「桃色の髪の少女」』がイチオシ作品として表示されたのは、7月12日と7月18日の2回。いや『2回』というのは、そこで調査を打ち切ったからなのですが、もう十分ですよね。6月18日からちょうど一ヶ月ですし、さすがに特集掲載による効果も期待できない時期。なにしろ7月12日の時点で、次の特集が1つと新作セレクションが2つありましたし、7月18日には、さらに新しい特集も出ていましたから。  ただ、こうしてチェックしたことで、やはりイチオシ作品はランダムなのだ、と確認できた次第です。  ……というのを、いつかエッセイに書こうと思っていたのですが。  これだけで一項目にするにはあまりにも小さな話なので、今回オマケとして、含めさせてもらいました。    
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加