超・妄想コンテストについて改めて(後編)

1/1
前へ
/32ページ
次へ

超・妄想コンテストについて改めて(後編)

     長い前置きが終わって、ようやく本題である超・妄想コンテストについてです。  このエッセイの序盤で記したように、私がエブリスタに登録した理由の一つが、頻繁に短編コンテストが行われていること。つまり、超・妄想コンテストの存在でした。  最初の頃に「どれか一つくらいはピックアップルーキーに引っ掛かったらいいなあ」とも書いていましたが、結局一度もピックアップルーキーに選ばれることなく、その期間は終わってしまいました。  応募要項を見ると「大賞、準大賞、入賞または佳作」が『受賞』として扱われるようですが、私はその下の「優秀作品」に選ばれたことも全くありません。もしも「優秀作品」に選ばれたら、最終的には落選だとしても一次あるいは中間選考の通過相当だと思えますが、そのような評価すらない完全落選ばかりです。  最も新しく結果の出た第157回「怒る」で、ちょうど通算50作品目の完全落選となりました。  いやあ、ずいぶんと書きましたね! これだけ完全落選が続くと「無駄な悪あがき」と言われるかもしれませんが……。前回報告したように、超・妄想コンテストで完全落選した作品が、他サイトのコンテストで中間選考を通過することもあれば、受賞することもあります。  それらの作品は、超・妄想コンテストで与えられたテーマに則して書いたものですから、その「テーマ」のおかげで発想できた物語。超・妄想コンテストがなければ書けなかった作品であり、いわばお題メーカーとしても超・妄想コンテストは素晴らしいと思っています。  ただし、先ほどの『ちょうど通算50作品目』のうち、本当に超・妄想コンテスト応募用に書いたのは8割くらい。残り2割は、手元にあった「超・妄想コンテストのテーマに合致するもの」を、せっかくだから応募しておこうという気持ちで出しただけでした。  その2種類が少なくとも自分では区別できるように、超・妄想コンテスト応募用の新作は、作者コメント欄に >超・妄想コンテスト「〇〇」応募用に書きました。  と記すことにしています。  本来、超・妄想コンテストは「超・妄想コンテスト応募用の新作」ばかりで応募するのが筋かもしれませんが……。  応募要項に『本コンテストの応募期間内に新規投稿された作品』とは書かれているものの、一般公募などで見られる『未発表作品に限る』という文言はないのですよね。  もちろん超・妄想コンテストは、エブリスタという小説投稿サイトのコンテストであり、一般公募のコンテストではありません。小説投稿サイトのコンテストでは「商業化されていない限り、他の小説投稿サイトなどで発表済みの作品も応募可」と書かれている場合が多く、それが当たり前なのでしょう。だから超・妄想コンテストの場合も、ほかで発表済でもエブリスタにおける投稿が応募期間内ならば、問題ないのでしょうね。  実際、超・妄想コンテストの応募作品を見ていくと、他の小説投稿サイトで見覚えある作品に出くわすことが何度かあります。  ここまでは、特に深く考えていませんでしたが……。  つい先日、超・妄想コンテスト第161回「変身」の応募作品を読んでいたら、またもや見覚えのある作品に出くわしました。  これが「他の小説投稿サイトで見た」というのであれば、よくある話です。しかし驚いたことに、それは一般公募のコンテストサイトで見た作品でした。  何期かに分割されて募集されたコンテストで、各期の優秀賞の十数作品を全て合わせたものの中から、さらに最終候補の数作品か十数作品に絞られて、そこから大賞が決まるコンテスト。私も3作品応募しましたが、どれも最初の段階で落選しました。  小説投稿サイトではなく一般公募なので、応募作品の全てが読める環境ではありません。読めるのは優秀賞以上のみ。改めてそちらのページで確認してみたら、超・妄想コンテスト第161回「変身」に応募されていたのは、優秀賞どころか大賞受賞作品でした。  微妙にタイトルは変えてあったものの、作品内容そのものは、一ページに一文字か二文字くらい違う部分がある、という程度。これは同じ作品といって構わないでしょうね。  作者名は全く違っていたので、最初は「これって盗作?」と失礼なことを考えてしまいましたが……。エブリスタの方で作品ページから作者ページへ飛んでみると、書籍の販売告知URLがありました。  ただし販売告知だけでは、紙なのか電子書籍なのか、普通の出版なのか個人出版なのかわかりません。でもクリックしてみたら「『小説家になろう』のコンテストで受賞した作品の書籍化シリーズ」という謳い文句があったので、どうやら何冊も紙の本を商業出版しておられる書籍化作家様だったようです。  そのような(かた)ならば、あからさまな盗作なんてするはずありませんね。一瞬でも疑ってしまったのは、申し訳ない発想でした。同一作者の別名義だったのでしょう。長編をいくつも出版している書籍化作家が、短編公募用に別名義を使う、というのは想像できる状況です。  しかし。  公募の受賞短編を別名義で超・妄想コンテストに応募した、となると……。  これはこれで、不思議に感じました。  既に何かのコンテストで受賞した作品を、別のコンテストに出して良いのでしょうか?  最初のコンテストで受賞した時点で、色々な権利がそちらに縛られるのではないか。いや、たとえその『最初のコンテスト』側で二次利用を許可したとしても、超・妄想コンテスト側で問題あるのでは?  そう考えて、改めて応募要項を確認したところ……。  驚きました。  超・妄想コンテストの応募要項には、受賞歴ある作品の応募を禁じる文言は書かれていないのですね!  もちろん他のエブリスタのコンテスト同様『エブリスタ内の公式コンテストや他サービス等に応募中の作品はご応募いただけません』と明記されています。でも受賞済ならば、それは「応募中」には相当しないはず。既に終わっていますから。  なるほど、相手側さえ許可してくれたら、エブリスタのルール的には、よそで受賞済の作品を応募しても問題ないのですね!  かりにも多くの作品の頂点に選ばれた作品です。そのような作品ならば、きっと超・妄想コンテストでも評価されるでしょう。  これは上手いやり方だと思いました。ある意味、目から鱗な新発見です。残念ながら私には、該当作品――受賞済かつエブリスタ未掲載の短編――がないので、せっかく見つけた方法も使えないのですけどね。  なお、少し余談になりますが……。  このエッセイを書く上で、確認のため再度、超・妄想コンテスト第161回「変身」応募作品一覧を見てみたのですが、上記作品は既になくなっていました。  エブリスタのルール的には大丈夫だとしても、道義的に問題あったのかもしれません。  あるいは、相手側の方から二次利用に制限がかかったのでしょうか。  一応、上述のように色々と不思議に思った点はありましたし、全くの落選だったとはいえ私自身も応募したコンテストだったので、そちらにお問い合わせは出しておきました。大賞受賞作品がエブリスタのコンテストに応募されていますが大丈夫ですか、と。    
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加