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「何で~?何で普通じゃダメなのよ~」
家に帰って、一人で考えれば考える程、意味がわからなくなった。
駄々っ子のように床に寝っ転がって手足をジタバタさせてみると、何とも言えない虚しさがこみ上げて苦笑いした。
「突っ込んでくれる人もいないのに、何やってるんですかねぇ、私は」
天井からぶら下がっているペンダントライトが、隙間風を受けて揺れている。可愛いと思って買ったはずなのに、なんだかバカにされてるみたいで気分が悪くなった。
――納得する美しい言葉達かぁ。
本当に求められてる答えがソレで合っているのかわからないくせに、他の案が何も出てこない自分の頭が憎い。
理念。攻撃は最大の防御の逆。防御こそ最大の攻撃。守る事こそが攻めになる。ダメだ、考えれば考える程、意味がわからなくなってくる。
気分を変える為に小池麗香という女性について考えてみよう。
薫さんは、小池さんもナルシシストなんじゃないかって言っていたけど、そうなんだろうか。あの人の事をまだ何も知らないけど、どうもそう思えない。
自分の作った育成所の名前にする位なんだから、むしろ小池さんは「自分はネメシスだ」って思ってるんじゃないのかなぁ。
で、通う人達がナルキッソス。
暫く唸りながら悩んでいると、睡魔に襲われた。夢うつつの頭の中で一つのイメージが浮かぶ。
ゆっくりと水の底に沈んでいくナルキッソス。
見守る人物が水面に映る。心配そうに手を伸ばすその顔は、魅惑的に微笑んでいた。
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