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「どうしてそうなったのかしら?確かに、中には裕福なお宅もありますけど、ほとんどはごく普通の家庭の方ですし、お子さんだけじゃなく大人の方もいるんですよ」
「そうだったんですね。すみません。実は私こちらについて下調べしようと頑張ったんですけど、何の情報も出てこなくて。本当に存在するのか疑うレベルで」
慌てて変な言い訳をしてしまう。必要以上に焦った私が滑稽だったのか、小池がまた「ふふふ」と笑った。
「えぇ。とてもしっかり情報管理していますから、調べられないのも無理ないです。あなたに情報をくれた方、よく私に辿り着きましたね」
薫さんがくれた走り書きのようなメモをふと思い出す。
盗み聞きで手に入れました、なんて冗談でも絶対に言えない雰囲気だ。
「あの、どうやってかは教えてくれませんでした。こちらの名前と電話番号しかわかっていなかったですし、小池さんのお名前も知らなかった位なんです」
「そう……まぁ良いわ。縁あって辿り着いた方は、できるだけ受け入れたいと常々思っているんです。ただ、一つ条件を出しても良いかしら?」
――すんなり受け入れてくれたと思ったのに、そう甘くはないか……。
「条件ですか?何でしょう?」
唇に人差し指をくっつけて、悪戯を思いついた子供のように無邪気に笑っている小池に、そう聞くしか無かった。
「では、問題です。自分大好きと言われるナルシシストを育てるこの場所が、徹底して情報を漏らさないようにしているのは、何故でしょうか?」
「え?」
「その答えを考えてきて下さい。私の納得する言葉達でしたら、正式に取材お受けします」
「はぁ……」
そんなの簡単な事じゃん、と思ったせいか気の抜けた声が出てしまった。
「わかりました。考えてきます」
機嫌を損ねないように素直に言い、帰路に着いた。
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