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思い出と教え
「おー、いいじゃねぇか。今日は時間も押しちまったし、夕飯にするか。腹減ったろ?俺もなんか適当に冷蔵庫漁ってくるから、それ先食べてていいぞ」
立ち上がって冷蔵庫の方へ一歩踏み出した途端、後ろにグイッと引き戻される感覚が襲い「待って」と花が引き止めた。
「どうした?」
「花ちゃね、知ってるの。今日が何の日か」
「え?」
今日?と思い起こすも思い当たるものは何も無い。
ひとまず向き合って座ると、花は手作りおにぎりを手に持ってこちらに差し出した。
「これ、海にいちゃの為に作ったの!」
「俺に?」
「うん!だって今日は「父の日」なんだよ!商店街のおばさんに教えて貰ったの!父の日はお父さんにありがとうって伝える日だって!プレゼントをあげる日だって!だからね、花ちゃ!作ったの!」
「あー…なるほど」
それで今日の昼間様子が変だったのか。
恐らく俺に贈る贈り物を考えていたのだろう。
「それで?なんでそのプレゼントを手作りの握り飯にしようと思ったんだ?」
「あの時のゲームで貰ったおにぎりがすごく美味しかったからなの!」
「ゲーム?」
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