思い出と教え

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「俺はお前の父親じゃねぇ。あくまで保護者代わりに過ぎない。お前の本当の父親はこんな俺よりよっぽどまともでいい人だったはずだ。なのに俺を父親としてみたら、お前は本当の家族を見失う」 「うん…」 「だからな、父の日は俺の日だと思うなよ?お前の本当の父親に感謝する日だ。本当の親を見失っちゃいけねぇぞ」 「花ちゃは…」 屈託のない笑顔をまた自分自身で崩してしまった。 それでもこれは伝えておかねばならない事だ。 「でも、お前が俺にそうしてくれたって事は、少しは俺も親らしくなれてるってことなのかもな」 「あ…」 「…うん、美味いじゃねぇか。上手に作れてる。俺より上手いかもしれねぇな?」 俺の言葉を聞いて、差し出した手作り握り飯を引っ込めて悲しげな顔でそれを俯いたまま眺めていたので、それをひょいと取り上げて食べてみると、案外予想に反して美味だった。 何より、気持ちがこもったそれはどんなものより絶品料理に思えた。 「ありがとうな」 「うん…!!」 機嫌を直した花はまた花咲くような笑顔を見せる。
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