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家路
家路
片側一車線の歩道のないまっすぐな道
私は毎日、バス停から南に向かってゆっくり歩いていく…
それは学校からの家路
誰にでもある、一日を終えた時に歩む道
朝、学校へ向かう登校路とは同じ路であって違うみち…
そんで…、目に映る光景は全部、その日を生き切った自分の目が映すもの
そう思っていた…
でも本当は違うんじゃないかと…
光るトモダチの存在を知って、私は悟ったかも…
***
初夏から晩秋にかけて…
この時期、私の右側からは猛烈な西陽が照り付けてくる
それは眩しい限りの太陽から届く贈り物…
幼い頃から私は、この道で見る西陽の空が好きだった
視覚的にもそうだが、むしろアスファルトの道路から湧き立つ”あの臭い”…
そんなものにも、どこか惹かれていた気がするんだ
あれ…、子どもの頃、変な表現だが太陽のゲップみたいだなって…
どうしようもないほどオレンジのいたずらっぽい陽線が、私ら子供を遊びに誘ってるような…
そんな感じでね
あれって、太陽の子供たちなんじゃないかって…
***
想像を絶するような光を発する太陽さんは、一秒に数十万だか数兆だか知らないが、無数の”子孫”を放出するから、いちいち子育てができないんだ
気の遠くなるような遥か彼方から、私たちの星にも太陽の子たちが漂着だ
西陽ということで、それ、ほぼ死に際って感覚で捉えてたよ
でも、私には笑ってるように見えたんだよね
偶然たどり着いた地で、ようやく触れあえる”相手”が見つかった喜び…
光の側からしたら、燈す相手が見つかれば、それで使命を全うできるのかもね
だから、私たちに到達した光たちは安心して旅を終える…
囁かなその一瞬が、私たちをジンジン照らす西陽なんだろうって
なので、あの臭いって、光が焼かれた臭いだったかなってさ…
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