同室の幽霊ちゃん

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「あぁ、ダメだ。死のう」  薄暗い部屋の天井に吊るされた縄に目が行く。  死のうと思い一週間が経過した。  ゴソゴソと布団の横に置いてある財布を手に取ると、中身を確認してみた。 「空っぽ、すっからかん」  パサッと落ちて来たのは、寝不足のときに撮影された免許書と使えなくなったクレジットカード。  それと、近所のスーパーのクーポン券だけだ。  まともな食事をとれなくなって二日、空腹感は無く。 ただ、虚無感だけに支配された体ができあがる。  つい半年前までは、幸せの絶頂だった。    公園のベンチで新聞を読んでいると、見知らぬ女性に声をかけられ、あれよあれよというまに、交際し婚約までした。  給料三カ月分とは古いかもしれないが、婚約指輪も購入し彼女に手渡して喜んでもらえて。  彼女が突然持ってきた新築のマンションも契約して、いざ新婚生活! なんて、甘い幻想は一瞬にして砕かれる。  彼女の同僚と飲んでいて、次の日の仕事が早いと言って帰った彼女、いつもより多めにお酒を飲んでいた俺は、一緒に帰ろうとし立ち上がったとき、裾をクイっと引っ張られる。 「あ、あの……」  恍惚な表情で俺を見つめてくる女性、彼女の後輩で凄く可愛い人だった。  思わず生唾を飲んでしまったのを覚えている。  そして、また席に座ると酔いつぶれるまで飲んでしまった。
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