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次の日、今日が約束した最後の日! もう一日のばしておけばよかったなと思う。
でも、明日からは月曜日なので、この人は働かなければならない。
なんて気の利く私なのだろうか。
土日で全て終わらせるつもりでいく、よって昨日は百点満点!
大切な時間を使うために、私はまた家をでた。
さすがに空腹になり、朝から営業をしている定食チェーン店に入るなり、昨日と同じ要領でご飯を機械から注文した。
小銭は予めお釣りで沢山いただいたので、今日は機械に付き返されることはない。
ほくほくの朝ご飯を食べ、次に行ったのは映画館、とくに何が観たいわけでもないが、大人気上映中! と描かれたPOPを見て入る。
邦画で、家族愛が溢れている物語、思わず後半十五分は涙で前が見えなかった。
次は……。 次! もう少し。
あと少し……。 最後に出たのは、ドカッと盛られたステーキのお店。
でっぷりと出たお腹を擦りながら帰路についた。
部屋の中は相変わらず暗くて、カビの香りが漂う空間。
その香りを胸いっぱい嗅いで、私は布団の上に座る。
そして、今まで閉じていた心のシャッターを開けると、一気にあの人の気配が濃くなる。
(満足したのか?)
「うん、ありがとう」
(いや、ただ好き勝手していただけだから)
「いいの、私がやりたかったことの殆どができたから」
段々と体から抜けていくのがわかる。 それに代わり、彼の意識が支配していく。
「楽しかったか?」
(えぇ、凄く! ありがとうね)
「行っちまうのか?」
なんとなく、そんな気がした。 ほんのりと温もりが体の中に残っていた。
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