同室の幽霊ちゃん

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「ひぃ、ふぅ、みぃ、って! すご――い!」  古いお金だけど、確か使えるよね? あぁ、なんだか悔しがっている感じが内側からヒシヒシと伝わってくるけれども、気にしない。  だって、これは私のお金。 心配性な自分が隠しておいたのだが、まさか使わずにお別れするとは思わなかった。  適当な服に着替え、履きつぶされたサンダルで外にでる。 「これこれ! お化粧とか身だしなみを気にしないで外出してみたかったんだよね!」  ルンルンな気分で階段を降りて、アスファルトの上に立ち、一度スキップしてみようとしたが、何もないところで転びそうになり、慣れないうちは、無理な運動はやめようと思った。    最初に目指したのは、近所にできたばかりのお洒落な美容室。 「いらしゃ……。 い、ませ?」  綺麗な女性の店員さんが、訝しげな目でこちらを見つめてくる。  キラキラとした内装が居心地がよい。 「えっと、カットをお願いしたくて」  ハサミで乱暴に切られた髪の毛を整えるために来た。   「! は、はい、ではこちらへ」  椅子に案内され、座るとずむっと体が沈む。   「えっと、それで、今日はどのように?」  予約していなかったが、切ってくれるようだ。  しかし、男性の髪型に疎い私はお店に入る前からこう言うと決めている。 「カッコよくしてください」  
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