同室の幽霊ちゃん

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 漠然としたリクエストに困惑する店員さん、雑誌を数冊持ってきて私にみせてくれる。  どれにしようか迷ったが、結局お任せすることにした。 「お任せします。 なんでもいいですから」    少し困ったような顔をしながら、快く受けてくれ、彼の髪の毛が切られていく。  途中、何度も調整しながら進めていった。 「すみません、この人が勝手に切ってしまって」 「はい? いえいえ、えっと……」  何を言っているのか理解していないようで、まぁ、当たり前だろう。  変な人に思われたかもしれないが、今はこの心地よい空間を満喫していこう。  何回か話しかけれたが、最近の話題にまったくついていけないので、どれも曖昧な返答になってしまい。  最後のほうには、無言になってしまった。  店員さんごめんなさい! もう少し勉強しておくべきだった。  そして、待ち望んだ時間が訪れる。 「はい! できました」  ふわっと、布が取り除かれ、雑誌から顔をあげて鏡を見てみた。 「うわぁ、なんだ、けっこういけてるじゃないですか」  目の前に見えたのは、あの野暮ったい人ではなく、清潔感に溢れた爽やかな男性で、後ろの店員さんは思わず拍手をしている。  髭も剃ってもらったので、顎のあたりがスースーして気持ちがよい。    私は丁寧にお礼を述べてお金を払おうとして、封筒から財布に移動させたお金を取り出して渡した。 「これ、使えますか?」  恐る恐る差し出すと、快く受け取ってくれる。 「ありがとうございます!」  カワイイ店員さんと、まるで生まれ変わったかのような彼の姿を借りて、私はお店を後にした。
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