同室の幽霊ちゃん

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 よっし! 次は。  目指したのは、表通りに面している。数少ないメンズの服を多く取り扱っているお店に行く。  落ち着いたラインナップで、入ってきた私を見つけた店員さんが、彼の肩から上と、服装のアンバランスさに気が付き、丁寧に服を選んでくれる。  最初に予算を言うと、大きく目を見開いて、一つ奥の棚からワンランク上の服を持ってきてくれた。 「どうぞ、こちらへ」  試着室へ入り、着替えてから一回転してみる。 「うん! さすがプロ、凄く素敵」  まるで別人になったような感じがした。  いや、中身はまったく別の人なのだが、それは置いといて、今まで腐った魚のような見た目をしていたのが、どうだろうか? 見慣れた私が驚くのだから、きっと知り合い全員が驚くだろう。  それぐらい彼は変われていた。 なぜか、私まで元気が出てくる。  だって、いつも苦しそうに生活していたから、私だって本当は……。  一瞬落ち込みかけたが、そんな時間は無い! 試着室から出ると、これを買うと店員さんに告げて、お店をでた。  もちろん、その場で買って、着て出ている。  前の服は、お店のロゴが入った紙袋に入れてもらい、一度家に戻って荷物を置いた。    本当なら、高級なマンションに住む予定だったのに、今はあの女性がすまし顔で住んでいる。 「あ、落ち込んだ」  私の中にいる彼が、あからさまにヘコミだしたので、メンタルにきそうなことは思わないようにする必要があった。  こっちまで、沈みそうなオーラが漂ってくるので、せっかく外に出られるのだから、明るい気持ちのままでいたい。  荷物を玄関に雑に放り投げ、服のついでに購入した、履きなれない靴に悪戦苦闘しながら、再度外にでる。  次に私がやりたかったことは! 「へい! いらっしゃい!」  元気な亭主の声が聞こえてくる。  お店の看板にはこう書かれていた。 【脂こってり、極太麺のらーめん ゴッツ‼】  前にテレビで観たときに、食べたい! と思い、ついに夢がかなう。  ツカツカと店内に入り、一番端の席に座ると亭主が目線で合図してきた。  その方角をみると、小さな機械があり、私の後に入ってきた人がそこにお金を入れてボタンを押していた。  なるほど、あれで注文するのか、私もそれを見習ってお金を入れてみると、お金が戻ってくる。  何度やっても結果は同じで、後ろに並んでいる人がイライラしだしていた。   「兄ちゃん! 何やってるんだい⁉」    見かねた亭主が歩み寄ってくる。 「あ、すみません……」  しゅんとなっていると、私の手に握られたお札をみて、大きく頷いた。 「なんだ、兄ちゃん、随分懐かしいのもっているじゃないかい! それしかもっていないのかい?」  その問いに、私は小さく頷いた。  「どれ、貸してみな」  私がお札を渡すと、ツカツカとお店の裏にいき、直ぐ戻ってきた。 「ほれ、これ使いな」  そこには、真新しい曲がっていないお札があり、金額は同じだが、現在のお金を始めて手にした私は、お礼を述べて改めてお金を入れてみると、今度はすんなりと入り込んでいく。  そして、一番左上のボタンを押した。  出て来た紙をもって、店員さんに渡すと元気よくオーダーが通る。  待つこと数分で、私の目の前には夢のような食べ物が置かれた。 「お待ち、ガッツリ食べてくれな!」  割りばしをパチンッ! と音をたてながら割、手をあわせて言う。 「いただきます‼」
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