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しかし、私の予想だにしていないことがおきた。
「うっぷ。 な、情けない」
食事をろくに摂取していなかったので、急に脂まみれのラーメンを食べたことで、体が強烈な拒否反応をおこした。
だが、念願の一人でラーメンを食べる! この強い想いが私を突き動かし、完食、完飲。
そもそも、味は想像以上に美味しくて、残すなんてまっぴらごめんだ。
小さくなった胃に、無理やり入れ、アパートに戻って倒れる。
「あぁ、幸せ……」
その日は、もう動けるような状態にはならなかった。
何度も彼が読んだ漫画を読んでは、ゴロゴロと寝ているばかりで、お昼過ぎに食べたラーメンがいつまでもお腹に居座っており、コスパとしては最強だと感じた。
夜になり、カーテンを閉めると、部屋の明かりをつけてみるが、やはりつかない。
ならば、と、思い。 次の行動に移る。
やってきたのは! デデーン! そう、銭湯。
一度来てみたかったが、今日こそ私は挑む! 部屋着に着替え、サンダルを脱いで入り、お金を払ってから移動しようとしたとき、呼び止められた。
「ちょっと! 待ちなさい!」
「へ?」
振り向くと、鬼の形相で睨む番台のお婆ちゃん。
「そっちは女湯だよ!」
や、やってしまった。 幸なことに、周りには誰もいなかったので、急いで間違ったことを謝り男湯に入ってみる。
湯気の向こう側には、立派な富士山が描かれ、思わず叫びそうになる。
しかし、困ったことが判明した。
当然と言えば、当然なのだが、周りは男性ばかりだ。
正直、生きたここちがまるでしない。 いや、死んでいるんだけどね。
誰も前を書くさずに堂々としているが、私は恥ずかしく恥ずかしくて何をやったらよいのかわからない。
ただ、念入りに体を洗って、体が火照るまでお湯につかる。
目を閉じて、瞑想しているかのように、ただ無だ。 無になるのだよ私。
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