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「似合うじゃん」
本棚に押しつけられ近づく顔、そして唇。
唇を重ねる度にカチカチと
ぶつかり合うサングラスと
傷ついて折れそうだった翼。
「それあげる」
「うん」
「ビールしかなかけどよか?」
顔のすぐ前で交す言葉を愛おしくそしてアタシの小さな手から溢れてしまわないようにしっかりと手を閉じた。
程よく部屋の照明を落とし、
ランプの光とアロマキャンドルに
透かして見ると
グラスの中でひしめき合う
ビールの小さな泡が二人の心みたいに…
いくつもくっついて大きな泡になる。
ウッドベースの軽快な響きに、
スイングしていくドラム、
そして流れていくピアノ。
ジャジーな夜に溺れて
一枚ずつ減らされて行く身に纏った布。
記憶にもないくらい放っておかれた素肌が
「寂しかった」と悲鳴をあげるほどに
絡み合う。
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