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でもその彼女に打ち明けることなく他の女と間が刺して子供ができて、好きでもなかった女と結婚してしまったこと。
「高校までなつみとは一緒だったんだけど…大学で俺が熊本に行って離れ離れになって…大学4年の夏の設計士の試験で上手くいかなくて…酒に逃げた。ヤケになってた。寂しかったんだ」
アタシの手を握ってた大河の手。強さを増して行く二つの想いと繋いだままの手。背後の大通りを行き交う車のライト。
時折、声をつまらせ目頭を押さえて目を閉じた大河。聞いていたアタシでさえも涙腺が崩壊しそうになる。
「一緒に飲んでた高校、大学と一緒だった子と一度だけ間が刺した。そしたら子供ができて…親父にもお袋にも猛反対された。それでも子供に罪はないから結婚した」
「…」
「どれだけ後悔してももう遅かった。俺が走るレールはそこから別の場所に…向けて…全然理想とは違う景色の中、走り始めた。自分じゃどうすることもできない位速く…」
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